ビートルズ本当に熱狂していた?

ビートルズは現在も知名度抜群のロックバンドです。ビートルズが音楽の歴史を変えた、日本中の若者がビートルズに熱狂していたといったことがよくいわれますが、実際にそうだったのでしょうか。そのあたりについて、リアルな感覚を記したのが亀和田武による自伝的エッセイ「60年代ポップ少年」(小学館)です。

歌謡曲の時代

本書は、亀和田武が小学校時代から大学時代までを過ごした60年代の風景を、本や音楽や映画といったサブカルチャー的なキーワードから読み解くものです。著者は「ビートルズ嫌い」を公言し、ビートルズ以前にあった豊穣な歌謡曲文化、ポップス文化を愛でています。これは著者自身の、マイナー志向ゆえもあるのですが、ビートルズに熱狂というような状態では決してなかったと述懐します。当時の同級生たちが同窓会などで「ビートルズへの熱狂」という思い出を捏造してしまうこと、思い出補正をはたらかせてしまうことに苦笑しつつ、いくつかの資料にあたりつつ、60年代という時代をふりかえっていきます。

ジャズ喫茶の真実

さらに、著者は、渋谷、新宿さらには中央線沿線の多くの喫茶店に足を運びます。その中にはジャズ喫茶も多くありました。当時、LPレコードはいまの物価からすれば、1枚1万円くらいしたので、お金がない人間は、ジャズ喫茶で音楽に触れるしかなかったのです。その中で、中上健次が通い、ビートたけしと永山則夫がボーイをしていた「ビレッジヴァンガード」というジャズ喫茶の伝説についてツッコミを入れています。伝説のジャズ喫茶のように扱われていますが、実際は終夜営業のさえない喫茶店だったようです。文化的なトピックにおいて「伝説の○○」といったものは多くありますが、それはあとで考えてみれば尾ひれがついているものだったり、チープだったりするものが多くあります。ジャズ喫茶文化もそのひとつなのかもしれません。

    
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