やりたいこととバイトの関係

岩波書店編集部による「私の『貧乏物語』これからの希望をみつけるために」(岩波書店)は作家、ライター、政治家、大学教授などさまざまなバックグラウンドを持つ著者が、自分自身の貧乏体験について述懐した本です。


若い頃の貧乏は美徳か?

そこで描かれるエピソードはさまざまです。戦後の極貧体験の原風景が描かれている部分もあれば、貧乏だったけれども家族や人間のあたたかみはあったという話もあります。本当の豊かさとは何かといった問いかけもなされています。

表現のためのバイトは得か?

その中でも印象深いものが、星野博美が寄稿した「選択的ミニマム生活」でしょう。星野は、1997年の香港返還前後に、学生時代に留学した香港へまいもどり、現地で生活します。その様子を『転がる香港に苔は生えない』(情報センター出版局)にまとめ、本作は大宅壮一ノンフィクション賞を受賞します。輝かしい経歴ですが、香港から帰国後は出版の宛もなく本書を書き綴り、その年の年収は2万円だったそうです。それでもアルバイト(本業とは無関係な副業)をしなかったとか。そのため彼女は風呂なしのアパート暮らしを余儀なくされますが、そのハングリーな環境だからこそ、『転がる香港に苔は生えない』が生まれたのだといえます。夢をかなえるために、当分はアルバイトをするのか、あるいはしないのか、は若者のひとつの選択肢だといえるでしょう。

    
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