文庫本は知識の宝?

基本的には単行本として刊行されたものが、数年してから文庫におさめられます。年数は3年が基準とされていましたが、近年はそのペースが早まっています。さらに、文庫版オリジナルの書籍も登場しています。


文庫本は知識の泉

ですが、文庫本は基本的に過去の作品を収録し、安価で提供される知識のアーカイブという性格は変わらないでしょう。そんな文庫本の魅力を伝えてくれるのが、坪内祐三による『文庫本宝船』(本の雑誌や)でしょう。本書は、『週刊文春』(文藝春秋)の連載をまとめたものです。その年数は2009年3月から2016年3月までのおよそ7年間、本数は320本と圧巻です。週刊誌にはエッセイや小説などが連載されており、それを一気に読む楽しみがありますが、こうした小さいコラムが集合すると、とてつもないボリュームになります。

ジャンル横断

本書の魅力は、著者である坪内祐三の本棚をのぞいているような気分になれることでしょう。国内外文学はもとより、エッセイ、音楽、ノンフィクション、社会科学の古典と幅広いです。ほとんどの書籍に、学生時代をはじめ若いころに目を通しているのも驚きです。坪内祐三は、若い頃に読んだ体験と、再読した体験を比較し、味わいの変化を記している連載回も多くあります。本は年齢を重ねるごとに、何度でも読み返していくことによって、違った読後感を得られる、そうした読書の楽しみが詰まったガイド本だと言えるでしょう。

    
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