社会はエヴァ化している?

2016年は、アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の放送終了から20年目となります。ファンの間では「エヴァ」の通称で知られています。


エヴァの世界感

エヴァンゲリオンの設定は、2000年に巨大隕石の衝突で起きたとされるセカンドインパクトを受けて、世界が壊滅的な被害を受け、人口の半分が失われたあとの世界が描かれます。そこから15年後の2015年に、セカンドインパクトのあと2001年に生まれた14歳の少年少女たちが活躍する話です。すでに、現実は「エヴァ」の設定を超えています。もちろんセカンドインパクトは起きていませんが、労働環境などの変化は、社会のエヴァンゲリオン化ではないか。そんな問いから書かれたのが常見陽平による『エヴァンゲリオン化する社会』(日本経済新聞出版社)です。

抜群の見立てのうまさ

著者は、各大学で就職アドバイザーを長く務め、労働社会学を専門とする大学教員です。さらにリクルートを皮切りに複数の会社でサラリーマン生活を経験しているため、豊富な事例を保持しています。実体験をもとに、労働現場の変遷を「エヴァ」に見立ててゆきます。高いエリート意識を持ちながら挫折してゆく惣流・アスカ・ラングレーは、実社会にも当てはまるものがあるでしょう。さらに、プライベートを犠牲にして仕事人間としてまい進する葛城ミサトは、負け犬女子だろうかと問いかけます。さらにミサトの友人である赤木リツコとリケジョなどまさに、ビビッドなトピックでしょう。

未来が見えない、結果が見えない

さらに極めつけは、現代の労働環境を「使徒」に例えた場面でしょう。「エヴァ」における使徒は、どこからともなく突然現れる怪物のような存在であり、毎回形を変えて現れるため、その都度、殲滅(結果)へ向けての対策が求められます。これはまさに現代の労働環境(ブラック企業)そのものでもあるでしょう。タイトルからするとこじつけのように見えますが、本書を読めば「エヴァ」と現代社会が見事にシンクロしているとわかるでしょう。

    
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