小説家の世界はつらい?

小説家は憧れる人が多い職業です。文学の新人賞などには数千通の応募があります。それだけ潜在的に作家になりたいと思っている人が多いのでしょう。


収入が保証されない

ですがいざ、新人賞を受賞したとしても、必ずしもそれだけで食えるとは限りません。そのため、作家、特に純文学作家の中には大学で教えたり、アルバイトをするなどして生活を成り立たせている人が多くいます。そんな売れない作家の悲哀とルサンチマン(恨み)が描かれたものが羽田圭佑による『コンテクスト・オブ・ザ・デッド 』(講談社)です。羽田圭佑といえば、ピースの又吉直樹『火花』とともに芥川賞を受賞した作家です。エキセントリックなキャラクターが受けたためか、よくテレビにも出演しています。ですが芥川賞を受賞するまで、彼は売れない期間が長かったので、そうした時代に培った思いを小説にぶつけたのでしょう。

「大いなる助走」の世界

こうした、文学世界の裏側、内側を描いた作品としては筒井康隆による『大いなる助走』(文春文庫)があります。この作品はあるサラリーマンが、地方の文芸同人誌に参加して、会社生活の内側を暴露した小説が文学賞の候補となることから、人生が転落してゆくさまを描いたものです。ただ自分の思いを垂れ流すだけの同人誌の合評会や、自意識が暴走した頭でっかちな文章を書く女子高生、下手に出ているようで実は居丈高な編集者など、実在のモデルがいるのかと思わせる個性的なキャラクターが登場します。この支離滅裂ぶりは『コンテクストオブ・ザ・デッド』にも受け継がれているといえるでしょう。

    
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