書店員が推薦する、ノマド《遊牧民》がトランプ《放浪者》にならないために読むべき8冊

ノマドとは「遊牧民」のことです。世界中、どこでも、「遊牧民」は過酷な世界を生き抜いています。安住の地がないということは、途方もなくリスクを伴います。そのリスクに打ち克つには、定住民よりも、はるかに強くなければなりません。そうでなければ、単なるトランプ、すなわち「放浪者」になってしまいます。今回は、書店員の三浦さんにご紹介頂きます。


せっかく、胸に大きな夢をいだき、羽ばたけると信じて「自由」になったとしても、現実に待ち受けているのは、「銃声なき戦場」です。そう、ビジネスの世界は、まさに戦場。学校や会社など、自分を守っていた何らかのバリアの外に出て、初めてそこが戦場だったということに気付くはずです。気付いて、多くの人は、愕然とするのではないでしょうか。

「ソーシャル・メディアを駆使すれば、営業しなくても仕事がたくさん入ってくるんじゃなかったの?」
「ブログを書けば、アフィリエイトで稼ぐことができるから、全国のどこでも、世界のどこにいても、食べるのに困らないんじゃなかったの?」
「パーソナル・ブランディングを徹底すれば、誰もが欲しがる人材になれるんじゃなかったの?」
「まずは飛び出せば、どうにかなるんじゃなかったの?」

もし、そういう状況に陥っているのなら、もし、そういう状況に陥ろうとしているのなら、ここで僕に出会ったことは、あなたにとってラッキーだったと言えるかもしれません。

まさに、3年前の僕はあなたと同じ状況でした。何も知らないままにこの「銃声なき戦場」に足を踏み入れ、仕事がないまま、減っていく資金がまるで滅亡へのカウントダウンのように見えて、恐怖で寝られない夜を過ごしていました。それが、今では再びこの戦場に出て、何とか、生き抜いていけるくらいの力がついて参りました。

まだ僕は大きな成功者ではありませんが、この戦場を生き抜く術は体得しました。そして、あなたが何よりラッキーなのは、僕が起業家であると同時に、「戦場を生き抜くための武器」、すなわち「ビジネス書」を売る商人でもあるからです。僕は、実際に戦場でその武器を使ってみているので、どの武器が使えて、どの武器が使えないのかを知っています。そう、ビジネス書において最も重要なのは、「面白いかどうか」、「売れるかどうか」ではなく、「本当に使えるかどうか」なのです。

「銃声なき戦場」を戦い抜くために読んでおきたい4冊《戦術編》

では、4冊を紹介します。

1. 『企業力とデザイン』(PIEBOOKS)

本当に使える武器だけを、ここに集めてみました。言うまでもなく、フリーランスとして戦うのならば、株式会社を起こしておいた方がいいでしょう。小さくとも「株式会社代表取締役」の名刺は威力があります。そして、取引先相手によっては、会社以外とは取引をしないというところもあります。社長になっておいて、損はありません。また、将来の飛翔を目指すなら、ぜひ、社長になっておくべきです。それと同時に、ホームページや名刺のデザインをはじめから、質のいいものにしておくと、メリットが倍加します。イメージ戦略の一部なのですが、人は、しっかりとしたデザインに安心感をいだくものです。

「あ、こんな立派なホームページがある企業なら、ちゃんとした企業に違いない」

というイメージを抱きやすくなります。それによって、無駄に下に見られることなく、交渉がやりやすくなります。この論点を説いたのが、この本、『企業力とデザイン』です。少し前の本ですが、なぜ虎屋さんがあれほどのブランドを保っているのかが理解できます。そして、この戦場において、デザインを軽視することがいかに危険かがわかるようになると思います。

ちなみに、この本を読んでから、僕はホームページにも名刺にも、高いデザイン性を求めるようになりました。

2. 『成功できる人の営業思考』(PHPビジネス新書)太田彩子著

起業した当時は、よいコンテンツさえ作れば、勝手にお客様が行列を作るものだと思っていました。そうでなくとも、広告戦略をうまくやれば、どうにでもなると考えていました。営業は古くさく、いかに営業をしないようにするかを、来る日も来る日も机上で論じていました。それがまさに空論だと気付いたときにはおそかった。もし、コンテンツを作るのに自信があって、それに100の時間をかけるのだとすれば、少なくとも営業に200の時間をかけなければ、売れるようにはなりません。そして、営業未経験者が、プロの営業の人が読むようなテレアポなどの「スキル本」を読むのも敷居が高いと思います。実際に、僕も読んだのですが、うまく使うことができませんでした。

その理由は今となっては明白です「営業思考」ができていなかったからです。つまり、営業を受けいれるための準備が、僕の頭の中でまだできていなかったのです。頭が耕されていない状況では、いくら「スキル」という種をまいても育つわけがありません。この論点を説くのが、『成功できる人の営業思考』です。実は、この本には、僕も編集協力として参加しております。僕のような営業の素人でも、営業ができるようになるように作ってもらいました。結果的に、それが営業だけではない、普遍的な内容になったと思っています。

この本ではこう定義しています。「営業」とは「誰かに認めてもらうこと」。「営業思考」とは、「誰かに認めてもらうためにはどうすればいいかを考えること」。つまり、営業だけではなく、この「営業思考」は、社内の昇進でも、就職でも、または恋愛でも使えるようになります。実際に、今、僕はありがたいことに仕事の話を多くいただいているのですが、本当に純粋にこの本にあることを実践しているだけです。

3. 『絶対に達成する部下の育て方』(ダイヤモンド社)横山信弘著

この本に書いてある、「予材管理」という概念を知ることによって、僕は革命的に仕事の効率が上がるようになりました。この「予材管理」とは、元々は営業の受注を管理するためのものなのですが、これはそのままクリエイティブな仕事にも応用ができます。だいたい、営業をすると、これくらい受注できるかな、という読みが甘くなってしまいます。フリーランスにとって、その読み違いは致命的です。読み違えれば、すぐにトランプ(放浪者)にもなりかねません。その読み違いをしないように、受注の可能性を管理しようというのが、この本の主旨です。

4. 『「先延ばし」にしない技術』(サンマーク出版)イ・ミンギュ著

「営業思考」で営業が何たるかを知り、「予材管理」によって受注量が安定的に増えてくると、今度はいただいた仕事をどうこなしていくかという問題に直面します。
人を増やそうにも、雇うには、手取りの1.3倍はかかるし、一旦雇ってしまえば仕事がないときでも固定費がかかる。安定的に利益が出るまで、なかなか人を雇うことは難しい。そうなると、いかに効率よく仕事をこなせるか、という論点が重要になってきます。仕事を効率よくこなすために、もっとも重要になるのは、集中してこなすことよりも、「先延ばし」にしないことだということに気付くはずです。その論点について説いているのが、この本、『「先延ばし」にしない技術』です。これは韓国の心理学者が書いた本で、心理学者故に至極合理的です。この本がすごいのは、合理的であるのに、たとえが豊富だから、内容がおもしろいことです。
読んでいると、不思議とやる気が出る本です。

□次のステージに到達するために読んでおきたい4冊《戦略編》

では、4冊を紹介します。

5. 『小さく賭けろ!』(日経BP社)ピーター・シムズ著

ここからは戦略面で必要となる武器です。戦場で生き抜く術がわかってくると、視界が開けるようになります。そうでなくとも、臥薪嘗胆している時期でも、堂々と戦略を練り、理念を掲げるべきです。それが戦場で戦い抜く意欲をもたらします。この本は、今ビジネスシーンにおいて重要なキーワードとなっている「失敗」をいかに活かすかということを説いた本です。Googleもアマゾンも、はじめからあのような戦略があったわけではなく、小さな失敗と成功を繰り返しながら、大きな成功を手にしたと言います。逆説的に言えば、成功するためには、物理的にも、精神的にも、失敗を許容するだけの余裕が必要だということです。そして、これを読めば、失敗が財産になることを実感することができます。

*この作品『小さく賭けろ!』はCORE1000第1回ノミネート作品でもあります。

6. 『コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント第12版』(ピアソン)フィリップ・コトラー/ケビン・レーン・ケラー著

大小問わず、マーケットで勝負をするのなら、マーケティングを知らなければなりません。書店には無数にマーケティングの本がありますが、この分厚い1冊の本に、マーケティングの基本があり、応用があります。すなわち、その全てが込められています。この本がすごいのは、新しいマーケティングの論点が現れると、自分の理論体系に組み込んでしまうところです。顧客第一主義(CRM)が出ると、それを理論体系に組み込み、ブランディングが隆盛すると、それも取り込んでしまいます。つまり、この1冊を読めば、事足りてしますのです。逆にこれを読まなければまずい。コトラーは、こう言っています。
「自分の本でも最新版にかサインをしない」各論について説いた本を読むことも必要なのですが、その前に、この本は最低でも押さえておきたいものです。

7. 『私、社長ではなくなりました。』(プレジデント社)安田佳生著

成功者の成功談をおさめた本は無数にあります。それはそれで、読む必要があるのですが、中には、「宝くじ当選者の成功談」も混じっています。成功者は、自分の失敗を語りたがらず、かっこつけたがるので、本当は重要だった「失敗」の話を、美談のスパイスとして用います。つまり、本当に泥臭くて、本当に聞きたい部分を伏せる傾向があります。それとは、逆に、この本では一世を風靡し、破綻した企業の社長が、なぜ失敗したかを淡々と語っています。それは、「こっちには行ってだめだよ、こっちには地雷があるよ」という教えなので、戦場を生き抜く我々にとっては大きな価値があります。もちろん、時代背景などで変わる部分もありますが、「行ってはならないところ」は本質的に変わらないのだと思います。まさに「地雷原」を記した地図のように、本当に使える本です。

8. 『1坪の奇跡』(ダイヤモンド社)稲垣篤子著

アントレプレナーについて書いた本は多くあります。スティーブ・ジョブズにマーク・ザッカーバーグ、リチャード・ブランソンなど世界中に素晴らしいアントレプレナーがいます。それについて書いた素晴らしい本があります。彼らにひけを取らないアントレプレナーがこの日本にいたことを、あるいは多くの人が知らないのではないでしょうか。日本屈指の生粋のアントレプレナー伊神照男。吉祥寺「小ざさ」の創業者であり、この本の著者である稲垣篤子現社長は伊神照男の実の娘です。この本には、稲垣さんのことはもちろんのこと、伊神照男氏のアントレプレナーとしての魂が込められています。この魂こそが、われわれ「銃声なき戦場」を戦うものにとって、最大の武器になるのだと思います。金も技術も方法もなかったときに、彼はこう言ったと言います。

「なければ、頭を使えばいい」

ぜひ、お近くの書店でお買い求めください。

(三浦 崇典)

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