二重敬語でも敬語として使える「敬語連結」

同じ敬語を重ねて使ってしまう二重敬語は敬語としてはNGです。しかし、「お読みになっていらっしゃる」のように、2つ以上の言葉を敬語にして、「て」でつなげた場合は「敬語連結」となり、敬語として利用できるケースがあります。


敬語連結とは

2つ以上の語をそれぞれ敬語にして、接続助詞「て」でつなげたものは、「二重敬語」ではなく「敬語連結」と呼びます。

「お読みになっていらっしゃる」

は、「読む」を「お読みになる」に、「いる」を「いらっしゃる」にしてつなげたものです。「読む」「いる」という2つの語をそれぞれ別々に敬語にしてつなげたものなので、「二重敬語」ではなく「敬語連結」となります。

敬語の指針では、この敬語連結は敬語として認められており、以下のように紹介されています。

「敬語連結」は、多少の冗長感が生じる場合もありますが、個々の敬語の使い方が適切であり、敬語同士の結び付きに意味的な不合理がない限りは、基本的に許容されます。

許容される敬語連結の具体例

「お読みになってくださる」
→「読んでくれる」の「読む」「くれる」をそれぞれ尊敬語にしています。これは、敬語として許容されます。

「お読みになっていただく」
→「読んでもらう」の「読む」を尊敬語に、「もらう」を謙譲語Ⅰにしたものです。尊敬語と謙譲語Ⅰの連結ですが、立てる対象が一致しているので、意味的に不合理がないため、敬語として利用することができます。

「御案内してさしあげる」
→「案内してあげる」の「案内する」「あげる」をそれぞれ別々に謙譲語Ⅰにしたものです。これは、敬語として許容されます。

不適切な敬語連結の例

使ってはいけない、不適切な敬語連結の例を紹介します。

1. 伺ってくださる・伺っていただく

「先生は私の家に伺ってくださった」
「先生に私の家に伺っていただいた」

は、「先生が私の家を訪ねる」ことを謙譲語Ⅰ「伺う」で伝えているため、「私」を立てることになる点がNGポイントです。「隣の窓口で伺ってください」のように「伺ってください」も、「隣の窓口」を立ててしまうためNGです。

*ただし、次のような限られた場合には、利用ができます。

「田中さんが先生のところに伺ってくださいました。」
「田中さんに先生のところに伺っていただきました。」
「鈴木さん、すみませんが、先生のところに伺ってくださいませんか。」

「伺う」が「向かう先」の「先生」を立て、「くださる」あるいは「いただく」が「田中さん」や「鈴木さん」を立てています。また、「先生」に比べれば、「田中さん」や「鈴木さん」は、「立てなくても失礼に当たらない人物(先生とともに学んだ友人など)」ととらえられています。

このように、その行為の「向かう先」が「立てるべき人物」であって、かつ行為者が「向かう先」に比べれば「立てなくても失礼に当たらない人物」であるという条件を満たす場合は、「伺ってくださる」「伺っていただく」などの形を使うことができます。

2. 御案内してくださる・御案内していただく

「先生は私を御案内してくださった。」
「私は先生に御案内していただいた。」

は、「先生が私を案内する」ことを謙譲語Ⅰ「御案内する」で伝えているため、「私」を立てることになる点がNGポイントです。「して」を削除して「御案内くださる」「御案内いただく」とすれば、「お(ご)〜くださる」「お(ご)〜いただく」という適切な敬語のパターンを満たすため適切な敬語となります。「〜ください」の場合についても同様です。

*この場合も、限られた場合には、問題のない使い方となります。

「田中さんが先生を御案内してくださいました」
「田中さんに先生を御案内していただきました」
「鈴木さん、すみませんが、先生を御案内してくださいませんか」

「ご案内」が「向かう先」の「先生」を立て、「くださる」あるいは「いただく」が「田中さん」や「鈴木さん」を立てています。また、「先生」に比べれば、「田中さん」や「鈴木さん」は、「立てなくても失礼に当たらない人物(先生とともに学んだ友人など)」ととらえられています。

このように、その行為の「向かう先」が「立てるべき人物」であって、かつ行為者が「向かう先」に比べれば「立てなくても失礼に当たらない人物」であるという条件を満たす場合は、「御案内してくださる」「御案内していただく」などの形を使うことができます。

敬語連結は、少し複雑なため可能な限りシンプルな敬語表現をしたほうが無難でしょう。

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