「下さる」と「頂く」の使い分け。間違えやすい2つの敬語

おいで下さる
おいで頂く

のように「下さる」と「頂く」のどちらを使えばいいのか迷う場面があります。間違えやすい敬語「下さる」と「頂く」の使い分けについて紹介します。


おいで下さる・おいで頂く

「先日は遠いところをおいで下さり、誠にありがとうございました」
「先日は遠いところをおいで頂き、誠にありがとうございました」

2つとも、丁寧なお礼の言葉ですが、文章の成り立ちから考えると、この2つには明確な違いがあります。前者が「来てくれた」ことへの感謝であるのに対して、後者は「来てもらった」ことに礼を述べています。

そのため、相手が自発的に来てくれた時は「おいで下さった」で良いのですが、こちらが頼んで来てもらった場合には「おいで頂いた」の方が適切です。もちろん、どちらでも構わないことも多いでしょう。

ただし、どちらかを選ぶとすれば、「頂く」の方が無難です。たとえ、頼んでしてもらったのではないことでも謙譲表現の「おいで頂く」を使って、こちらの望みに応えてもらえたという姿勢をとることで、一層へりくだった言い方になり、感謝の気持ちを強めることができるからです。

遊んで下さる

「下さる」より「頂く」の方が、謙虚な感謝の気持ちを表しやすいです。しかし、「下さる」が「頂く」とくらべて丁寧さが劣るわけではありません。「下さる」がふさわしい場合もあります。

例えば、遠くから忙しい中を時間を作って訪ねてくれた人に、足を運んでくれたことに感謝するとしたら、「わざわざお越し下さった」がぴったりでしょう。

自分から進んで子供の遊び相手をしてくれた人のことを話す時も、「子供と遊んで下さっています」の方がふさわしいでしょう。「子供と遊んで頂いています」では、子守を頼んでいるように聞こえてしまいそうです。へりくだることよりも、相手の行為に対する敬意を重視する方が望ましい場合もあります。

ただ、同じ「下さる」も、「あの方、いつも家まで送って下さるの」などにはかえって、ありがた迷惑だといった気持ちがこめられていることもあります。これが「いつも送って頂くの」なら、喜んで好意を受け入れていることになります。

ご遠慮頂きますよう、お願いします

「駅構内でのおたばこは、ご遠慮頂きますよう、お願い致します」

駅だけではなく、デパートなどでも似たようなアナウンスを、よく耳にします。

「ご協力頂きますよう」
「お楽しみ頂きますよう」

なども同様ですが、こうした「頂きますよう、お願いします」という表現は、正しい使い方でしょうか。「頂く」は「貰う」の謙譲の形です。この場合、「遠慮して貰う」のは駅の側で、利用客の方は、それに応えて「遠慮する」、つまり、駅側から見れば、「遠慮してくれる」ので、「くれる」を丁寧に言うと「下さる」を使う方が適切です。

「遠慮してほしい」という気持ちを伝えるために

「ご遠慮頂きたいと思います」
「ご遠慮頂けますよう、お願いします」

などと言うことは出来ると思いますが、あまり、すっきりした言い方とは思えません。「ご遠慮下さいますようお願いします」と言う方がふさわしいのではないでしょうか。

「下さる」と「頂く」の使い分けには注意しましょう!

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参考本

「この一冊で「敬語」がわかる! (矢橋昇)」

    
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