畳のヘリを踏んではいけない!接待で役立つ和室のマナー

若い世代には、これまで一度も畳の部屋で暮らしたことがない、という人がかなりいますが、和室には独特のマナーがあります。社会人になると、接待などで和室を使う機会も出てきますから、知らないではすまされません。今回は、押さえておきたい畳のマナーを紹介します。


■畳のヘリを踏んではいけない理由「戦いに備える」

「畳のヘリを踏まない」

これは和室の所作の基本中の基本です。常在戦場、つねに戦いに備えておくことが必要だった武家社会では、床下に潜んでいる敵に襲われるということもありました。畳はヘリの部分で合わさっていますから、そこを踏んでいると、突き抜けてきた刀の切っ先で痛手を負う、ということがあったのです。これが、時代を背景とした、ヘリを踏まない合理的な理由です。

■畳のヘリを踏んではいけない理由「格式の文化」

もうひとつは文化的な理由です。畳が貴族の間で使われるようになったのは平安時代ですが、当時は大変な高級品でした。ヘリには藍染めなどで染色された絹や麻が用いられていたのです。植物で染めた布は色が落ちやすかったうえ、とくに麻は耐久性が低く擦り切れやすかったため、ヘリを踏むことは御法度とされたのです。

もっと重要なのは、ヘリは格式をあらわすものだったという点です。もっとも格式が高かったのは「繧繝縁」と呼ばれるものです。これを使うことを許されたのは天皇、皇后、上皇といったごくかぎられた高貴な人たちだけでした。また、格式そのものである紋をあしらったヘリ(紋縁)もあったのです。そのヘリを踏むことは、文字どおり、格式を踏みにじることです。こうして畳は静かに歩き、決してヘリは踏まない、という文化が定着しました。

畳のヘリを踏まないことを単なるマナーとしてだけではなく、その文化的背景も心得ている人は、日本の美風を体で表現できているのではないでしょうか。畳のヘリを踏むのはやめましょう。

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参考本

「禅が教えてくれる 美しい人をつくる「所作」の基本(枡野俊明)」

    
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