日本のアイデアは、全世界にさらされている

知財を守るつもりの「特許出願」が、逆にアイデアを盗まれる原因になっていると知っていましたか?
ぜひ知っておきたい「特許」の意外な事実をご紹介します。


「特許」とはそもそも何?

「特許=知財」とよく言われますが、正確ではありません。知財とは「頭で考えたお金儲けのアイデア」です。特許の対象となる発明は、間違いなく知財のひとつです。
そして、特許は「特許法」という法律によって知財に与えられる権利のことです。
私なりの言い方をすると、特許というものは「知財に着せた透明な防護服」です。放射線から作業者を守る放射線防護服や火災から消防士を守る消防服のイメージです。
防護服を着ていれば、外敵からは守られるかもしれませんが、透明なので中身は丸見えになってしまっている。これが、特許なのです。

知らない間にあなたの知財が世界に公開

たとえば、あなたがビジネスになりそうなアイデアを開発し、それを特許出願したとします。あなたは特許出願することによって、大事なアイデアを守ろうとするわけですね。
ところが、出願から1年半後、特許庁はあなたの大事なアイデアをインターネット上に公開します。特許庁は、あなたがこの事実を「当然知っている」と思っていますので、何の断りも入れてきません。
インターネット上に公開されたあなたの大事なアイデアは、当然ながら世界中の誰でもが、一年中いつでもどこでも読むことができます。
つまり、特許庁によって、あなたの知らない間に、あなたの大事なアイデアが全世界にさらされてしまうのです。

周辺国が日本の特許公開公報をネットで入手

日本の特許庁が公開公報をインターネットで公開するようになったのは、20世紀最後の年となる1999年の3月31日です。
これによりデジタル化された日本の公開公報に世界中からアクセスが集まるようになり、日本のアイデアがどんどん世界中に漏れ出したのです。
周辺国はこぞって日本の特許公開公報をインターネットから入手し、そこからアイデアを拾い出し、自分たちの栄養として吸収していったのです。

競合に栄養を吸われた日本企業

特許を取得した後、公開されるものを「特許公報」といいます。「公開公報」は特許される前の、出願されたアイデアの一覧集。前述したように、その半数以上は「特許断念」する類のアイデアです。まさに玉石混交といえます。
そこから、「金になるアイデア」を探し出そうというのですから、その国をあげての執念はすさまじいものがある、といえるのかもしれません。
そうした執念の賜物か、周辺国の企業は育ちざかりの子供のように急成長していきました。そして、競合となる日本企業の体力を容赦なく奪っていったのです。

アイデアには国境がない

 インターネットがあまりにも便利なため、今ではそれが存在しない世の中を想像することさえ難しくなりました。でも、あなたにとって便利であるということは、誰にとっても便利であるということです。
 ここで強く認識していただきたいことは、今、私たちは「アイデアには国境がない」時代に突入しているということです。これが、特許出願がもつ最大のリスクといえるでしょう。

【まとめ】

・特許出願は「アイデアを盗んでください」と、全世界に宣言すること。
・日本の企業は、自社の貴重な機密でライバルを育てていた。
・インターネットの普及でアイデアには国境がない時代に。安全に知財を活かしたビジネスをしたいですね。

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著者:新井信昭(あらい・のぶあき)

    
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