「正しい主張」は正解ではない

正しいことを主張することが、必ずしも正解ではないことはよくあります。お店のルールを守らないお客に、頭ごなしに「それはだめです」とぶつけてしまうと、お客はまず怒るでしょう。怒りを口にしなくても、その店に悪い印象を抱くのは必定。「もう二度と来ない」と思われては、店にとって損失です。「ワンランク上の『接客交渉術』」の著者・宮田寿志さんも、若い頃にそんな失敗を経験した一人。そんな宮田さんの失敗談を例に、失敗しない対処術を探ってみましょう。


ルール違反を直接注意してしまった!

宮田さんが学生時代に働いていたホテルでのこと。シングルルームに入った男性客のあとに、もう一人、女性客が続いて入っていくのを目撃した宮田さん。「ルール違反だ」と思い、一度躊躇しながら「この場で注意するべき」と考え、「シングルの部屋に2人で泊まることはできない。当ホテルは連れ込みホテルではないんだから、そういうことはやめてほしい」との旨をはっきり言ったそうです。

接客に求められる“正解”とは

すると、その客からフロントにクレームの電話が入り、フロントの担当者が部屋まで謝りに行きました。それを見た宮田さんはフロントの対応を弱腰だと納得できなかったといいます。そのあと、宮田さんは上司から「宮田くんの言っていることは間違ってはいないよ。でも、接客としてはちょっとね」と、やんわりながら言われたそうです。

誰も教えてくれないルール

たとえ正しいことを言ったとしても、お客を怒らせる結果を招いたことは注意の対象になる。それは一般常識だけでは語れない、接客業のルールと言えるでしょう。ただ、宮田さんが出くわしたような“むずかしいお客”への対処法を、懇切丁寧に指導してくれる職場はなかなかないのも事実。宮田さんは著書を通して、大きなクレーム事案に発展するような間違いを犯さない正しい対処法を伝えたいと強調しています。

避けられない“むずかしい客”の対応

最初から機嫌が悪い人、横柄な態度を取る人、酔っ払っている人、順番を守らない人などなど、扱いのむずかしいお客はできれば相手にしたくない。接客業に携わる人間なら誰もが抱く正直な気持ちでしょう。しかし、現実は甘くありません。むしろ、こうしたむずかしいお客への対応をいかにそつなくこなせるかこそが、この仕事に関わる人の評価に直結すると言えるのかもしれません。

参考書籍:宮田寿志著「ワンランク上の『接客交渉術』」(ぱる出版刊)

筆者プロフィール
足立謙二 時事通信記者を経てフリーライターに。雑誌「昭和40年男」、ねとらぼなどエンタメ系サイトなどでサブカル、アニメ、特撮などを中心に執筆。Twitterアカウントは@adaken

    
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