お客に頭を下げる本当の理由

むずかしいお客に対応する時は、懇願と交渉が必要だと、「ワンランク上の『接客交渉術』」の著者・宮田寿志さんは強調しています。でも、「なぜそこまでお客にへりくだらなきゃならない?」と感じる方も多いはず。先に触れた通り、宮田さん自身も接客業の世界に入ったばかりの頃は同じ思いでした。しかし、それを押し通すのは接客業としてNGだということも、身をもって知ったと語っています。なぜだめなのか、それを宮田さんは「自分が損しないため」だと言っています。


申し訳なさそうな表情を作る

頭でわかっていても、「自分が悪くないのに頭を下げるのは不本意だ」と感じる人もいるはず。その場合、宮田さんは「演技でいいんですよ」とアドバイスしています。面従腹背。見た目は相手の意に従う素振りを見せていれば、心の中でアッカンベーをしていても構わない。そのかわり、目一杯の演技力で申し訳なさそうな表情を見せられるよう、日頃から表情作くりの練習をしておくといいとまで言っています。

店員という着ぐるみをかぶる

さらに宮田さんは、お店で働いている間は店員という“きぐるみ”をかぶっているくらいの心構えでいることで、気持ちは一段と楽になるはずだと言います。「私自身も接客中は「接客スイッチ」が入りますので、お客さまからどんなに怒鳴られても気になりませんし、『土下座をしろ!』と言われればいくらでも土下座をすることができます」。まさにワンランクどころか接客道の極意を知る思いですね。

責められているのは自分自身ではない

宮田さんは、「演技だと思ってやるので、プライドが傷つけられることもありません」とも言っています。お客から無理難題やきつい言葉を浴びせられるのは、自分自身の人間性が責められているのではなく、お客がお店そのものや会社に対して腹を立てているからに過ぎません。

割り切るメンタルを持つ

たまたまそのお客に対応したのが自分だっただけで、時間がずれていたら別の店員が同じ目にあっていたかもしれません。そう思えば、お客の言葉にいちいち傷つくこともない。自分自身ではなく、胸に付けているネームプレートが文句を言われているだけだと割り切るメンタルが求められるとも言えるでしょう。

参考書籍:宮田寿志著「ワンランク上の接客交渉術」(ぱる出版刊)

筆者プロフィール
足立謙二 時事通信記者を経てフリーライターに。雑誌「昭和40年男」、ねとらぼなどエンタメ系サイトなどでサブカル、アニメ、特撮などを中心に執筆。Twitterアカウントは@adaken

    
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