マニュアルやスクリプトに頼らない一流のサービスを提供する秘訣

接客や電話応対の内容は、マニュアルで一定の手順が決められていることがほとんどです。しかし、マニュアルやスクリプトにいつまでも頼っていては一流のサービスを提供することはできません。


マニュアルどおりの対応は正しいか?

「マニュアルどおりの対応だな」と感じることはありませんか? どこの店舗に行っても同じサービス内容を受けることはとても大切ですが、もう少し柔軟に対応すればいいのにと思うことはありませんか? マニュアルどおりに案内することは品質を均一化するためには有効なのですが、一歩間違えると心がこもっていないようにとられてしまいます。

マニュアルの真意は何か?

あるファーストフード店のレジで注文をしてトレーを持って席に移ろうとした際、店員さんに声をかけられました。

「お客様、他にお食事に必要なものはありますか?」

意味がよくわからず「大丈夫です」と言って席に移動しました。別の日に、同じチェーンの別のお店に行ったときも「お食事に必要なものはありますか?」と聞かれました。疑問に思い、「食事に必要なものって、たとえばどんなものですか?」と聞いてみると、「ケチャップなどです」と言われました。

ケチャップのことを言うのなら、「ケチャップは必要ですか」と聞けばいいのです。なぜ、「お食事に必要なものは?」と聞いたのでしょう。接客をしてくれた店員さんは、おそらくアルバイトの人だったのでしょう。お客様に「お食事に必要なものはありますか?」と聞くことは、レジに立つときのスクリプトだったのではないでしょうか。

しかも、ケチャップなど調味料を聞くためのスクリプトではなく、お客様のご要望に応えたい、何かお困りのことはありませんか、というおもてなしの気持ちを示すためのスクリプトだったのではないかと推測できます。その真意が、アルバイトの人たちに伝わっていなかったのでしょう。せっかくお客様のために用意をしたルールなのに、もったいない話です。

お客様に真意が伝わらなければ、そのルールやマニュアルは意味をなさないものになってしまいます。定型的にできることは大切ですが、個々のお客様に合わせて対応することが必要です。

マニュアルがマイナスになるとき

朝から大雪が降り交通機関も止まるほどの悪天候の日のことです。天気予報ではこれほど降ると予想していなかったのに、思いがけない大雪に首都圏は大混乱でした。その日はちょうど、以前から楽しみにされていたレストランを予約していた日でした。人気のレストランでやっと予約が取れたので、とても楽しみにしていました。

予約時間は午後。ギリギリまで様子を見ようと気が気でなかったそうです。しかし、時間が経っても雪は一向に止む気配はなく、車を出せる状況ではありません。電車もバスも止まっています。泣く泣くお店にキャンセルの電話を入れたところ、お店のスタッフの方に言われた言葉に衝撃を受けました。

「キャンセルされるのであれば、前日までにご連絡ください」

人気のレストランなので、「キャンセルは前日までに」とご案内するルールやマニュアルがあったのかもしれません。食材の用意をする必要があるからかもしれません。しかし、前日はこんなに大雪になることは誰も想像できないことでした。無理をしてでも行きたかったため、ギリギリまで判断に迷い、泣く泣くあきらめた状況なのにそのひと言。楽しみにしていた気持ちは一気に失せました。

このような状況でマニュアルどおりに対応する必要があったでしょうか。自然現象により、どうしても向かうことができなかったのですそれが想像できれば、「本日は本当に残念です。もしよろしければ次回のご予約を承りましょうか」と次につながるご案内ができたのではないでしょうか。

自分で考えることが一流のサービスの秘訣

ルールやマニュアルどおりに対応することも必要ですが、その時々の状況を判断し、最適な言葉を選んでいかなければなりません。マニュアルから外れた途端、自分で考えなければなりませんし、責任も伴います。

しかし、だからこそお客様は、自分のために考えてくれたこの人を信頼しようと思うのです。マニュアルやスクリプトに頼らない。自分で考えてその時々にふさわしい対応ができたとき、一流のサービスとなるのです。状況に応じた言葉選びが、信頼関係をつくり出すのです。

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