利益をもたらす数字社員、赤字をもたらす感覚社員

突然だが、日本の企業の何割が 「黒字企業」 だかご存じだろうか。 国税庁によると、平成11年度以降、 法人税を黒字で申告した企業は ほぼ3割で横ばいである。 平成21年度には、なんと 25.5%という過去最低を記録した。 つまり、日本の企業の約7割は赤字企業なのだ。 どうすれば企業は黒字になるのか。 今日はその答えを 『給与は自分で決めなさい』野呂敏彦(幻冬舎ルネッサンス) を元に考えてみたい。

赤字の原因は「計数」にあり

著者の野呂敏彦氏は、書籍の中で 企業が黒字にならない理由を、 「社長や社員が計数に弱いから」 断言している。 計数とは、数をかぞえること。 ただ、野呂氏が言う計数とは、 ただ単に計算が得意だということではない。 会社を黒字にするには、 いくら暗算が得意でもダメなのだ。 大切なのは、自らの意思で 売上や利益をはじめとする経理の数字を読み、 そして企業としてあるべき姿について 理解する力のことだろう。

「業績悪化企業」に対する5つの質問

野呂敏彦氏は、計数が大切であるとする根拠として、 中小企業省が2004年2月に発行した 「会計処理・財務情報開示に関する 中小企業経営者の意識アンケート」 をあげている。 アンケートでは、 A.直近3~5年で赤字基調から黒字基調に好転した B.赤字基調であるが、赤字幅は縮小している C.赤字基調であり、赤字幅が拡大している という3つの質問を行い、 A.B.の企業を「業績好転企業」、 C.の企業を「業績悪化企業」と分類している。 その上で、下記の5つの質問 Q1.過去の売り上げと利益について比較を行い、    その推移を確認している Q2.賃借貸借表の借入額の推移を確認している Q3.基礎的な経営指標を算出し、確認している Q4.分析に基づき、売上等を含む事業計画を    策定している Q5.適正在庫レベルの把握や収支状況の把握・    分析等を行っている を企業経営者に投げかけたのだ。

「業績好転企業」は計数に強い!

すると、5つの質問すべてにおいて、 「はい」と答えた割合は、 「業績好転企業」の経営者が圧倒的に 「業績悪化企業」の経営者を上回っていた。 その割合を 「業績好転企業の割合(%)対 業績悪化企業の割合(%)」 として質問ごとに表記すると、 Q1.では 87.1% 対 81.0% Q2.では 62.9% 対 50.5% Q3.では 50.5% 対 37.7% Q4.では 49.4% 対 33.0% Q5.では 46.9% 対 31.2% となっている。

社員を「計数」に巻き込め!

野呂氏は本書で、経営者のみならず、 社員ひとりひとりを「計数」に巻き込むことで、 社員全員が「利益」に基づいた働きを することができるようになると説いている。 これを野呂氏は「クラスター経営」と名付け、 そのノウハウを広く普及させることに 命を注ぎ続けている。 本書は、タイトルに 『給与は自分で決めなさい』 とあるように、社員が自らの給与を “自らの利益への貢献に基づいて” “自ら決める”ことを勧める書籍であり、 クラスター経営の根幹をなす考え方がわかる一冊だ。 経営者のみならず、企業を黒字に導きたい すべての社員にとって必読の書と言える のではないだろうか。