一発屋「消費」時代の終焉。これからは「育て愛」がヒット商品を生み出す

どんなに忘年会で真似したり、ユーチューブで過去の作品を見まくっても、時が来るとストンと、どうでもよくなってしまう一発屋。一定のフォーマットでギャグが繰り出されるパターンの笑いのため、真似しやすいですが、飽きるのも早くなってしまいます。一発屋の「消費」では、本当のヒット商品は生まれません。本当のヒット商品は、AKB48、初音ミクのような「育て愛」が生み出すのです。なぜ「育て愛」がヒット商品を生み出すのでしょうか? その理由を紹介します。


■一発屋の華麗な消費に対する疑問

「ヒロシです…」
「残念!」
「そんなの関係ねぇ!」
「ワイルドだぜぇ?」

どんなおもしろいギャグでも、繰り返し消費されると、消費期限を感じてしまいますよね。テレビでよく見えるあの人が急につまらなくなり、飽きてしまうのです。

「どうせ、あと数年したら消えちゃうし…」

あまりにも多くの一発屋のケースを見ているため、「人気がある」ものを消費するだけの関係に、疑問を感じているのが現在のテレビ問題です。。私たちはテレビを見ながら「応援する気持ち」を持って接しています。最初から「使い捨ててやろう」なんて思ってはいないのです。だからこそ、自分が好きな芸人さんに人気が出始めると

「私、最初からスターになると思って目をつけてたの!」

と自慢したくなります。しかし、テレビへは「応援する気持ち」が届くことがありません。私たちは「見るだけの人」という関係であり、視聴率を稼ぎ出すひとりとしての存在です。そして、視聴率が下がってしまったときに、番組は終了していきます。大好きだった芸人さんを見る機会も、少なくなっていきます。こんな経験を、私たちは、ここ数十年間繰り返してきたのです。そろそろ「消費」からの進化が始まらないほうがおかしいと思いませんか?

■「育て愛」がヒットを生み出す

私たちは初音ミクや、AKB48の爆発的なヒットに、「応援する気持ち」の新しい手応えを感じています。ネットやソーシャルメディアを手に入れた私たちは、「応援する気持ち」を、応援する対象に結び付けられたらという欲望を持つようになっています。その欲望の一つが、「育て愛」です。

「未完成なものを、より完全なものにするプロセスを味わいたい」

という欲望の形です。AKB48のメンバーは、よく

「クラスで10番目ぐらいにかわいい子を集めた」

と言われています。それぐらい「普通な子」が選ばれているのです。今では、多くのメンバーが普通の子からアイドルに成長しています。普通の女の子たちでも、「みんながアイドルになれる可能性」を、AKB48は示してくれました。ファンと支え合い、仲間と競い合う環境さえあれば、なんでもなかった普通の子が、アイドルとして輝き出す不思議が「育て愛」にはあります。むしろ、アイドルとしてふさわしくなさそうな子が、キャラとして化ける瞬間に、「応援する気持ち」は最大化するのです。育てたい、成長させたい、完成させたいと願うからこそ、ゴールを目指してがんばれたり、感情移入ができます。仲間との共感が呼び起こせるのです。

■初音ミクも「育て愛」からヒットした

初音ミクも「育て愛」からヒットした商品です。自分の好きなイラストレーターや作詞・作曲をする人がいて、みんなそれぞれが、自分の好きな人を応援しています。好きな人同士で盛り上がり、好きなものの「共創」を繰り広げていきます。しかしそこには、完成形はありません。どんなにすばらしい楽曲が公開されても、みんなにとっては、次の「共創」のための元ネタとなるのです。この進化こそが「育て愛」の喜びなのです。応援しているものを、未完成から完成へ向けて突き進ませる醍醐味こそが「育て愛」です。

ヒット商品を生み出すには「育て愛」というコミュニティ形成の考え方が重要です。ソーシャルメディアなど、コミュニティ形成を真剣に考えたい人は、「ソーシャルエコノミー」を参考にしてみてはいかがでしょうか?

「ソーシャルエコノミー 和をしかける経済(阿久津 聡, 谷内 宏行, 金田 育子, 鷲尾 恒平, 野中 郁次郎)」の詳細を調べる

    
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