「総選挙=AKB48」と定義を変えた「秋元康」。次世代のヒット商品を見つける3つの秘密

「総選挙と言えば、自民党でも民主党でもなく、AKB48を思い浮かべるようになるよ」

5年前のあなただったら想像できるでしょうか? 今から5年後のことや、これからどんなアーティストが求められるか、どんな楽曲や動画の視聴スタイルが一般的になるか、わかっている人なんてほとんど存在しません。しかし、世の中には、「次世代ヒット商品を生み出す」人がいます。彼らが先に動くことで時代は変わりはじめ、新しいヒット商品を生み出します。AKB48を生み出した「秋元康」さんは、まさに「次世代ヒット商品を生み出す」人と言えます。今回は、なぜAKB48が国民的アイドルになったかの事例を参考にしながら、次世代のヒット商品を見つける秘密を紹介します。


1. 企画やプランニングで一番重要なのは、真っ先に自分がおもしろがれること

「AKB48がなぜ成功したかなんて、後からならいくらでも話せるけれど、おもしろそうと思ったから始めただけ。先のことはなにも考えず、全部行き当たりばったりで。やりながら楽しんで進めていっただけ。」

まずは、自分がおもしろがれることが一番大切です。今やマーケティングは、リミッター装置となってしまっています。暴走させないように守ってくれる安全装置です。安全になれた人は、スポーツカーの必要性を感じなくなっていきます。「なんか最近、つまらなくなったなぁ」と感じるのは、危険を避けていることさえ忘れてしまったからです。本来マーケティングとは、触れるものを「本気にさせる」ことです。秋元康さんはこう言います。

「遠まわりになってしまったこともあったけど、最近のプランナーとかクリエーターって、遠まわりする気がないんじゃないか? いついつまでに、どれだけの成果を出さなきゃいけないからだろうけど、実現できそうな企画しか出してこない。遠まわりもしない、行けそうなところばかり。中身に、意気地がない。本当におもしろそう! っていう企画は、前例もないから、やり方がわからないし、自分が何をやりたいかさえ、よくわかっていない。わかってるやり方って、誰かが先にやっているから予定調和になりがち。やったことがないと、懸命に考えるでしょ。だからいいんですよ。企画というのは企むこと。受け手(お客さん)の側になって、呆れるくらい「脳に直撃する」おもしろさを企まないと人は動かない。人を楽しませるんだったら、最初につんのめって倒れる一番目のドミノは、自分のはず。」

2. デートしたいと思わせるのがビジネス

デートしたいと思わせるのがビジネスです。人はいつも魅力的なデートに誘われるのを待っています。

「次は、どんなサプライズを仕掛けてくれるの⁉」

次々と繰り出されるAKB48のあの手この手。先が見えないスリリングな展開に、人はいつしか巻き込まれていきます。「なぜアイドルの人気投票に、国民全体が盛り上がってしまうのだろう?」とわかっていながらもAKBがしかけるデートに人は惹かれていくのです。

3. ひとりソーシャルの力。どれだけ人を巻き込めるか

AKB48のプロデュースで心がけられているのは、常に一人称での接し方です。

「マジで」
「本気で」
「バカらしいこと」

を、メンバーもスタッフも、全員一人称で取り組み、「この指とまれ」を仕掛けていっています。本気の人には、本気で応援してくれる人たちが集まってきます。ソーシャルメディア利用者がいくら10億人以上いたって、自分発のグラフでなければ赤の他人です。ソーシャルは「和」の拡大ゲームだからこそひとりの力が重要になってきます。

秋元さんは40年近くテレビをつくってきて、この時間帯はこういう視聴者層だから、こういう人たちはこういうものを喜ぶんじゃないかと考えてテレビを作ってきました。でも、オンエア時間に自宅に居ても、その番組を観ない自分に気づいたそうです。そこには、次のようなおごりがあったのです。

「こういうものがおもしろいんだろ?」
「こういうものを欲しがってるんだろ?」
「でも、僕は見ないけどね」

AKB48劇場では、お客さんと土俵が同じだからそれが通用しません。いろんな企画を仕掛けるけれど、ファンの人たちがおもしろいと思うかどうかは、その場でリアルに感じます。ファンの人たちが求めていることも、求めていないことも、その場でわかるんです。だからこそ、もっと違う手を考えなきゃと、常にスタッフ全員が真剣に考えています。

ライブの舞台に立つとき、お客さんの顔がよく見えます。小さな会場であるほと、はっきり見えます。このお客さんたちとどう関係を築いていけるかがAKB48の日々の闘いです。良くも悪くも、そのお客さんたちが自分にとっての大切なソーシャルグラフなのです。だからこそ、まずは自分からサービスします。すると相手からも、やがてサービスしてもらえるようになります。ソーシャルグラフを築く上で重要なのは、自分の持ち味を大切にすることです。自分に不相応なキャラは続かないし、見透かされてしまいます。自分の持ち味が愛されはじめた時、会場に来ない大勢のファンにも推してもらえる存在になっていくのです。

一人ソーシャルから始まり、自分のコミュニティができたときにヒット商品の可能性が生まれます。ソーシャルから、次のヒット商品を作りたい人は、「ソーシャルエコノミー」という本を参考にしてみてはいかがでしょうか?

「ソーシャルエコノミー 和をしかける経済(阿久津 聡, 谷内 宏行, 金田 育子, 鷲尾 恒平, 野中 郁次郎)」の詳細を調べる

    
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