伊右衛門 VS コカ・コーラの「秘密」

お金を生んでくれるアイデア・知財は、あらゆるビジネスの核となる重要機密です。あなたのよく知る有名なあの商品、身の回りにも、それぞれの「戦略」が込められています。


レシピを世界に公開しているサントリー

サントリーの緑茶飲料『伊右衛門』。みなさんは、この『伊右衛門』の作り方を誰でも簡単に見られることを知っていますか? 
試しに、特許庁のホームページ『特許情報プラットフォーム』でサントリーの特許公報を検索してみてください。すぐに見つかると思います。
特許公報を読んだだけで、同じものがすぐに作れるわけではありませんが、見るだけで「競合品を作ろう」、または「差別化した商品を作ろう」とする同業他社にとって、大いに役立つことは簡単に想像できると思います。

コカ・コーラのレシピを知るのは世界でたった2人!?

一方、コカ・コーラの作り方は完全に秘密です。一説には、そのレシピはアトランタにある銀行の地下金庫に厳重に保管されており、ほんのひと握りの人間しかその内容について知らないといいます。「知っているのは、たった2人」という説もありますから、日本コカ・コーラ社の社長でさえ、知らないのかもしれません。
130年もの間、ブランド力を高め続けているコカ・コーラ社。当然ながら、競合商品を抑え、世界中で抜群の売り上げを誇っています。

アイデアは秘密で価値を高める戦略

同様の強さをもつ企業は他にもあります。たとえば、ケンタッキー。あのフライドチキンが最初に作られたのは、1930年のこと。これまた大人気ですが、あのチキンと同じ味は誰にも作れません。
老舗のうなぎ屋は、何十年も継ぎ足し守ってきた「秘伝のタレ」を持っています。行列のできるラーメン屋のスープのレシピはたいてい「門外不出」です。

門外不出でオンリーワンに

これらの企業が強さを維持できている理由、それは「レシピを特許出願したりせず、完全に秘密にしているから」です。
自分たちが競争力を長く保ち続けるための源泉であるレシピ、技術、工夫、技、コツなどのアイデアを秘密にしておき、決して外部に「見せない、出さない、話さない」。
さらには、そうしたレシピの秘密性を強調することで、消費者を引きつける戦略をとっているといえます。

特許出願とは機密の公開

反対に、大切なアイデアを世界中の誰でもが見られる状況にさらしてしまうのが、「特許出願」であるのです。
「なるほど、コーラと伊右衛門では、コーラのほうが賢いんだな」と思われた方。その判断は早急というものです。伊右衛門には伊右衛門の戦略があります。
 特許を出願するか、しないか。知財となるアイデアを見せるか、見せないか。そこに優劣はありません。大事なのは「知財をいかに戦略的に利用するか」なのです。

【まとめ】

・「特許出願」とは、大切なアイデアを世界中にさらすこと。
・一方、アイデアを秘密にすることで勝ち抜く企業も。
・アイデアを見せるか、見せないか。大事な戦略です。あなたの知財はどうですか?

★ 参考図書『レシピ公開「伊右衛門」と絶対秘密「コカ・コーラ」、どっちが賢い?』 新潮社
著者:新井信昭(あらい・のぶあき)

    
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