エントリーシートが難問化する理由

就職活動のエントリーシートは、人気企業ほど難問化する傾向があります。なぜ、エントリーシートは難問化しているのでしょうか?


TSUTSYA

CD・DVDレンタルの「TSUTSYA」などを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブでは、応募者を絞るために、応募条件に事業計画書の提出を義務づけました。すると、2009年度卒採用では4,000人だった応募数が、2010年度卒では150人にまで激減しました。それでも、一人で事業計画書を10本提出するなど、本気度の高い学生が集まり、企業サイドは手応えを感じているそうです。

Zoff

メガネショップ「Zoff」を運営するインターメスティックは、2010年度卒採用から、会社説明会の前に実際に店舗に足を運んで感想文を出すよう学生に求めました。感想文を選考に含める予定はありませんでしたが、「キレイだった」などと一行しか感想の書けない学生がいたため、そのような志望度の低い学生約1割は事前に選考から外したといいます。

ホリプロ

10人程度の採用に対して2万を超えるプレエントリーのある芸能プロダクション、ホリプロは、これまでA4用紙2枚に自己PRや志望動機などを書くオーソドックスなエントリーシートでしたが、2010年度卒採用からは志望動機などを書かせるA4用紙1枚のエントリーシートに加え、「50歳になったときホリプロで何をしていたいか」といった2つのテーマを、それぞれA3用紙1枚に書くエントリーシートを課した。結果、応募者は5分の1になったと言います。

エントリーシートを難問化する理由

エントリーシートは面接に先立つ第一次選考的な役割を持っています。同じような設問が並び、他社で書いたことを使い回しできるようなエントリーシートなら手間もかかりませんが、オリジナルの設問が並び時間のかかるエントリーシートは、意中の企業にしか出さないようになります。

平均97社にプレエントリーして意思表示はしても、実際にエントリーシートを書くのは就職情報サイト「就職ジャーナル」(リクルート)調べでは平均19・2社です。

ホリプロのように、エントリーシートを難問化することで、「知っている会社だから」「楽しそうだから」といった志望度の低い学生からの応募を未然に防ぎ、採用効率を上げようとしている企業は多いのです。

難問例

朝日新聞2010年10月18日に出ていた、さまざまな企業で実際に出されたエントリーシートの質問の実例を紹介します。

  • 博報堂:もし3,000万円あったら、あなたはどのように使いますか。
  • 旭化成:就活について考えていることを、川柳にしてください。
  • 資生堂:上司に何度も調整しながら進めていた提案資料を、提案日直前に突然「こんなんじゃ駄目だ」と突き返されてしまいました。あなたはどうしますか。
  • 講談社:鳩山由紀夫、石川遼、東野圭吾にそれぞれ薦める本は何ですか。理由を書いてください(各一行)。
  • カゴメ:カラオケでの持ち歌は何ですか。
  • JR貨物:1から9までの数字のうち、あなたが好きな数字を選びなさい。またその理由を400字以内で述べなさい。

こうした設問内容に工夫をこらす企業もあれば、WEBからのエントリーではなく、手書きのエントリーシートに変える企業も増えました。同じような質問が並び、しかもWEBからのエントリーだと、コピペしてエントリーする学生が大量に現れます。

しかも、エントリーが簡単だから何となく送っているだけで、志望度も高くありません。一方、いくら設問が難しかったり、作成に時間がかかっても、本当に行きたい企業のエントリーシートなら一生懸命に取り組む。企業だって、そんな志望度の高い学生を求めるのは当然でしょう。

岩波書店

例年、数人の採用に対し1,000人以上が応募するという老舗出版社の岩波書店では、2013年度採用から、応募条件に「岩波書店(から出版した)著者の紹介状あるいは社員の紹介があること」を掲げている。つまり、縁故採用に限るということだ。

その理由を担当者は「出版不況もあり、採用にかける時間や費用を削減するため」(共同通信2012年2月2日配信)と説明し、志望者には「自ら縁故を見つけてほしい」としています。便利に見えるネット就活というシステムが、逆に学生自身の可能性を奪い始めてもいるようだ。

エントリーシートの難問化は人気企業ほど加速しそうだ。

次の記事

「エントリーシートで自由記入欄を書くポイント」

前の記事

「エントリーシートでの企業独自の難しい質問の対策方法」

参考本

「内定とれない東大生」

    
コメント