本は文化であり、どう守るのか

本というのは過去の叡智が記された貴重なものです。そこにおいては、文化が生起するための条件があるともいえるでしょう。本をそなえた図書館は民主主義のインフラであるという考え方もありますね。その本を破壊する人は文化の破壊ともなりうるのです。これは大げさなことではありません。それだけ知識や情報というのは大切なものであり、それを守り抜くことは大変な努力がいるものなのです。

何が起こっていたのか?

デイヴィッド・フィッシュマン著、羽田詩津子翻訳による『ナチスから図書館を守った人たち:囚われの司書、詩人、学者の闘い』(原書房)では第二次大戦下において、ナチスドイツが行ったホロコースト、ユダヤ人の絶滅計画は、人ばかりではなく、書籍などの文化的な資料も含まれていたものだとときあかします。そこにおいて、約40名のユダヤ人たちが図書館を運営し蔵書と文化を守ったことはあまり知られていません。その知られざる歴史を記したものが本書なのです。

お話として読める

本書にはいくつかの登場人物があらわれて、彼らがどのように動き、何を話したのかが記されています。ノンフィクションというと堅苦しいものといったイメージもあるかもしれませんが、決してそんなことはありません。本書はお話として読めるようになっていますから、普段本を読まないという人や、歴史本が苦手という人にも親しみのある文体であるといえるでしょう。