どの会社がブラック企業? 3つのエピソードで分かるブラック企業の見分け方

今から3つの会社のエピソードを紹介します。エピソードを読んだら、3つの答えをどれか1つ選んで下さい。

1. 間違いなくブラックだ!
2. 会社なんて、こんなもんでしょ
3. お、むしろいい会社なんじゃないの?

選んだ答えで、ブラック企業の見分け方がわかります。


A. 人材派遣会社の金曜日22時38分

「オイ、喜べ! これから仕事が入ったぞ!!」
「え? 今から仕事ですか!? 私、これから帰るところなんですが……」
「バカヤロウ! 何いってんだよ。仕事だよ仕事。町田で搬入現場の仕事が入ったんだよ! お客さんが待ってんだ! 早く行け!!」
「これからに加えて、私が現場に行くんですか!?」
「当たり前だろ。スタッフはもうみんな帰ってるよ」
「でも、今日は朝番からの夜勤明けで、もうかれこれ18時間くらいぶっ続けで働いているんですが……」
「18時間も36時間も変わんねえよ! 大体おまえの給料は誰が払ってんだ。お客さんからいただく売上でだろうが。早く行って早く終わらせろよ!!」(と、ケリを一発)
「わ、わかりました・・・・・・。すぐ行ってきます!」

B. 前期の業績評価を受けて、上司とのミーティングの席

「スミマセン、●●部長。どうもこの「評価据え置き」っていうのがよくわからないんです」
「そのままじゃないか。役職も給料も、前期と後期で変わらないってことだ」
「なんでですか! 私はチームリーダーとして部門の数字をまとめて、私もチームのメンバーも全員目標を達成しているんです! 業績の貢献では、誰よりも高いじゃないですか」
「たしかに業績ではな。でも、君のチームのメンバーの状況がどうなっているか知っているか? みんな疲れきってる。このままのやり方じゃつぶれるぞ。こんなやり方を評価するわけにはいかない」
「それはたしかに反省の余地があったかもしれません。でもチームの数字の達成は期の初めの目標でしたし、目標を達成できていれば、昇給か昇格はするものでしょう」
「それはあくまで『昇給昇格の検討対象になる』だけだ。とにかく、もう決まったことだ。また次の半期で挽回してくれ」
「そんなあ……」

C. 某ベンチャー企業の社長室で社長とコンサルタントが打ち合わせ中

「あれ!? 社長。なんで給与額と社会保険料が合っていないんですか? この保険料だと、月給額が社員全員10万円になっちゃう計算じゃないですか」
「これ、いいでしょ? ほら、社会保険ってさ、やっぱり社員にとっても会社にとっても負担じゃない。だからね、保険料の申告をするときだけは、月給一律10万円で登録しちゃうのよ。そうすると、お互いが払う保険料も減るしね。もちろん給料そのものは、ちゃんと多く払ってるよ」
「……そうなんですね。社員の皆さんはご存知なんですか?」
「保険料が安くなるんだっていったら、とりあえずみんなOKだったよ。なんかね、ウチの社員はみんなやる気があんのよ。でもさ、労働基準法とかでいろいろ縛られるのは邪魔くさいよね。やる気のある社員にはどんどん仕事をしてもらって、やりがいを感じてくれたらいいわけだからさ」

エピソードからわかる会社の本質

ブラック企業かどうかの判定は以下のとおりです。

A. 会社なんて、こんなもんでしょ
B. お、むしろいい会社なんじゃないの?
C. 間違いなくブラックだ!

Aの会社は、社員の実情も考えずにひどい言い分をしているようです。法定の勤務時間も超えてますし、深夜勤務の割り増し分を支払わなければこの命令自体が違法になってしまいます。しかし、会社というものが営利を追求するために存在している以上、ビジネスチャンスがあればそれをつかもうとするのは当然のことです。

ひどい状況かもしれませんが、この程度の出来事は日本全国の会社で日々繰り広げられており、これくらいでブラック企業だとはいえません。経営者的な観点からすると、「そんなことをいっている本人のビジネスパーソンとしての意識が甘い」とさえいい放つ人もいるでしょう。

Bの会社は、いかにも理不尽な上司が現われます。自分の部下がちゃんと成果を上げているにもかかわらず、何の評価もしていない。血も涙もないような人です。せめて、結果として業績が良かったことだけでも褒めればいいのに。

ただ、このエピソードのポイントは別のところにあります。それは、この上司が、「たとえ自分が嫌われようとも、会社の理念に合わない行為は断固として評価しなかった」ことです。普通に考えると、売上が上がれば会社にとってはハッピーだし、上司も手柄になります。どんな手段であれ、評価すべきことのようにみえますよね。

しかし、その陰には苦労している「部下の部下」が存在しているのです。彼らはまさにハードワークによって、「この会社、ブラック企業じゃないか?」と感じているかもしれません。この評価ミーティングの場で上司は、直属の部下に対して次のようにいいたかったのでしょう。

「今、君を評価してしまったら、部下をつぶすような強引なやり方を会社として助長することになる。業績のために社員を犠牲にする人間は、評価しない」

これは理不尽どころか、この会社がブラック企業にならないようにするための立派な砦であるといえます。

Cの会社は、社員の保険負担を減らしつつ、給与はしっかりと払っているので、一見、「社員思いの社長なんじゃないの?」と思ってしまうところです。しかし、社長が保険の仕組みをよくわかっていない。もしくはあえて悪用しているといった形で、「法への無知」「遵法意識の欠如」が感じられるところが問題です。

この場合、実際に会社は10万円より多くの給与を支払っているものの、社員は「月額給与10万円で計算された年金」を将来受け取ることになってしまいます。これは明らかに、社員に不便を強いる違法行為であるといえます。

その他にも、社長が法律を軽く考えているのも気になります。資金繰りが非常に厳しくて、こうでもしないと今月を乗りきれない、といった極限の状況ならまだしも、日常がこのような意識だと、いつ違法行為が起こるかわかりませんし、それを悪いとさえ感じていない、といった構図も十分に考えられます。

法的にも、このような経営者と、それに率いられるブラック企業は淘汰されなくてはなりません。

ブラック企業に入社しないためにも、見分け方を知っておくことが大切です。

参考本

「人生を無駄にしない会社の選び方の記事」

    
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