事故処理、キッチリ請け負います!示談交渉人

「わわわ!事故ったどうしよう!」
「経験ないし、どうしたらいいかわからない!」

普通に暮らしていて、突然襲いかかってくるのが交通事故。平成25年度の事故発生件数は63万件あまり。そりゃ昼夜を問わず、これだけの自動車保険のCMをやっているはずだ。

もちろん、あなたがつたないドライビングテクニックならば仕方がないことだが、もらい事故なんてのもありえないことではない。頭は真っ白、パニックを起こしている間に、相手が悪けりゃ厄介なことに巻き込まれてしまうこともある。そんな時に、役に立つのが“示談交渉人”である。

もちろん、保険会社、近親者以外の無資格での弁護活動を行うため、弁護士法違反になる。そんなリスクを犯してまでも、示談を生業にする彼らの生き方、テクニックとは……。


取り半でも依頼は後を絶たない

示談交渉で商売をはじめて約15年になるM氏(仮名/54歳)が差し出した名刺は、“交通事故診断士”。はじめてみる肩書きである。

「もっともらしい肩書きをつけておくと、頼む相手も安心するでしょ? 示談屋を頼んだりすると、結構リスクがあったりするからね。この肩書きは依頼人保護の観点もあるよ」

俳優の松重豊にどこか似たM氏は、待ち合わせの喫茶店のコーヒーで口を湿らせながら饒舌に語る。
それは、最近の保険会社が行っている払い渋りについてである。

「当たり前の請求をしているのに、“他の保険会社はそうでしょうけど、ウチは出せません。というか、出す気はありませんね”なんていう保険会社もあるよ。規約があるんだから考えられないけどね。素人相手だとナメてかかってくる」

中でもタチが悪いのは『S』という保険会社。払い渋りの代名詞だそうだ。素人相手に突っぱねるために、被害者が直接加害者の元へ押しかけることもあるという。
逆に手厚い対応をしてくれるのは、『T』だそうだ。

交通事故を起こして、事後処理をうまくできる当事者は少ない。M氏は、口コミで仕事を取っては、うまく保険金を引っ張るそうだ。

「ほとんど紹介だね。示談屋の猛者にもなると、警察無線を傍受して、事故現場に駆けつける奴もいるよ。報酬? 支払われた金額の半分(取り半)は報酬としてもらうよ。もちろん、当事者もそれなりに協力してもらわなくちゃいけないけどね」

まずは被害者であることが第一条件になる。加害者の場合は、自分が加入している保険会社に連絡を取り処理してもらった方がよいとM氏はいう。とにかく事故日から足繁く病院に通って通院日数を稼ぐという原始的な方法だ。

およそ3ヵ月で固定症状として、保険会社は支給を打ち切るので、とにかく通う。前払いができる余裕があれば、タクシーで行っても最後には返ってくるので安心だそうだ。

収入をでっち上げて、休業手当を請求する場合もあるが、年齢などによって、上下するので、損をする場合もある。
また、西洋医学の整形外科ではなく、東洋医学の整骨院がベター。保険対応もしてもらえるし、固定症状以降も交渉次第でレセプト(医療報酬の明細書)を書いてもらえる。東洋医学であれば、「痛いものは痛い!」といえば、通用する話だそうだ。

100対0の事故は4パターン

一番おいしい事故は過失割合が100:0という事故。
「無条件に保険会社が平謝りになるのが、この過失割合だね。やっぱりそんな事故だとやりやすいから楽。事故した時点から、関係性が優位に立てるしね」

その事故とは4つにわかれている。

  1. 逆走…その名の通り、対向車線を逆行すること
  2. 信号無視…黄色信号で飛び込んだ場合でも目撃者がいれば、100対0の恐れあり
  3. 玉突き事故…オカマを掘る、追突事故
  4. 逆突事故…バックギアのまま、後方車にぶつかる

「相手にしても仕方がないのは、無保険車に乗っているヤクザと、保険に入ってるくせに罪を認めないババア。この二者はタチが悪い。できれば関わりたくないね。ヤクザがらみの事故でも対応するなんて、よくバカなこと聞くけど、そんな面倒なことしてられないよ」

また彼は、おかしな示談屋に頼むと大きな代償を払わされかねないとも言った。
「無理な折衝で保険屋が必要のない弁護士を立ててきたり、示談金を着服したり……結構面倒な連中の吹き溜まりだからね。気をつけてほしいね」
そんなとき、ガラケー、スマホなど3台も所持している彼のスマホがけたたましく鳴り響いた。

「ほ、ほう。で、向こうの出方は? じゃあお前のところで休職証明あげてよ。1ヵ月で40万くらいで。税金はこっちで面倒看させるから……」
知り合いなのか、いつもどおりの会話なのか。僕なら、正直彼のお世話にはなりたくはないと思った。

みなさんも事故を起こしたら、必ず警察に届けを出し、彼らがつけ込まないように毅然とした対応を心掛けてください。

(丸野裕行)

次の記事

「暴言!クレーム!よい旅のお供はツラい!旅行添乗員というお仕事」

前の記事

「転職先にぜひ!実は儲かるタクシードライバー」

似ている記事

「まるでリーガル・ハイ? 損保側弁護士のがむしゃらさ」

    
コメント