買った途端に名簿が回る恐怖!霊感商法業者が語る手口と実態とは?(2)

霊感商法に引っかかる人々……その数は減ることはない。それは神や仏にもすがりたいという思いが絶えることがないからだ。
その手口、実は蜘蛛の巣状に張り巡らされた綿密な根回しと心理学に基づいている。

今回話を聞いた川内氏は、現役の霊感商法業者。この業界に数十年従事する彼は、果たして何を語るのか。


“転換期”“運気が変わる時期”に人は弱い

前述したとおり、私たちの業界の人間は、生命保険会社が契約者に支払った保険金をどれだけ掠め取るか、が勝負になってきます。
出回った名簿をどれだけ早く手に入れるかにかかっているわけです。

病人の介護に「私だけはしっかりしなくちゃ!」と気丈に振舞っていた被害者でも、
畳みかけるように恐怖心を煽る霊感商法の前に、精神を参らせ、廃人のようになってしまうケースもあります。

【筆者】悩みや不安でギリギリの精神状態に陥っている者を骨までしゃぶりつくす。
まさに鬼畜の所業。しかし、こんな原始的な手口が今もなお行われているとは信じがたい。

色々と商品はありますよ。ウチはやっていませんが、最近ではどこもとある新興宗教のようにビデオセンターを作って、「毎日見ろ」とばかりにインチキカウンセラーのビデオ販売をしているようです。現在、ウチの組織では、“無料運勢鑑定”のDM案内、メルマに付けたバナーを送っています。きっちりとサイトを作るんです。そこには、アンケートで悩み事も書き込めるようになっていますから、事前に情報を掴むこともできます。鑑定結果を封書で送ると、2~3日後にスタッフから電話を入れるんですよ。

「あなたは今、転換期なんです。一生に一度あるかないかの非常に大切な時期です! 【先生】が“特別鑑定”をしてさしあげたい、とおっしゃっておりますので、ぜひともお会いになられた方がよろしいかと…」

転換期、運命の転機―こんな言葉にひっかかりやすいターゲットは絶好のカモです。“霊場”へ連れて行くために駅で待ち合わせをします。ハガキを持参させ、5、6人は一気に呼び出しますね。迎えに行って、受付を済ませ、いくつかのパーティション(仕切られたコーナー)へ一人ひとりバラバラに通します。そこでお茶子の女の子にターゲットの期待を高めるような言葉をかけさせます。

「あなたに会えることを【先生】は大変愉しみにされてました。本当に運気の高いところにあなたはおられるようですよ!あんなお方がそう言われるぐらいだから、本当にラッキーでしたね!!」

それから大仰に【先生】を登場させ、姓名判断、手相から先祖の得を説き、部屋の間取り(風水)、家系の因果などで恐怖心を煽ります。

「家系図の中に恐らくは、ひどい死に方をされた先祖様がいます…う~ん、人を殺めたことがあるとか、う~ん、人を陥れて、怨念で呪い殺されたとか…」

ここから、先祖の頃から引き摺った様々な霊障などを払うためにも…と営業トークが絡んできます。
守護印や開運印、壷や香炉などヒスイなどで作れば、多少質が悪くても、素人目には誤魔化しが利きますから…。

人に言うとご利益がなくなる

【筆者】いくらマインドコントロールをしても、この時点で「帰る」などと言いはじめるターゲットも存在するはず。その場合、どのように対処するのだろうか。
一般常識で考えれば、そんなものを購入して祟りが収まるわけはない、と考える者も出てくると思うのだが。

まったく聞く耳を持たないゲストはわざわざ駅くんだりまで出張ってきませんから。帰らせない工夫といえば、とにかく手荷物と上着を預かりますね。会場係のほとんどが男ですから、会場を締め切り、睨みを利かせ、威圧することもあります。それからは、買わなければ帰れないと観念させてしまうわけですね。

昔は、通信販売や訪問販売に対する予備知識など一般人にはなかったんですが、今では売買契約してもクーリングオフや契約取り消しの特例などの解約手段があります。
それに訪問販売法の改正で、高額ローンに対しては、後日に購入意思の有無を契約者にクレジット会社が確認することになりました。ですから、そういう事態を回避するために、

「人に言えばご利益はなくなる」
「人に言えば、無間地獄が待っている」

などと脅したり、「本人が自分の手で稼いだ金じゃないとご利益はない」などと現金一括払いを強要したり、色々と大変なんです。こういうご時世ですから…。

【筆者】一度騙された被害者たちはこのあとどうなるのか。氏は恐るべき霊感詐欺の連鎖を語った。

もう購入者リストがすぐに回ってしまいますから、以前霊感セミナーなどに参加してしまったターゲットに次の悪徳業者が、以前のセミナーと無理に関連付けてアプローチすることは多いです。

「あなたはセミナーに参加しましたよね。参加当日に上級セミナーに参加する意思をこちらとしては受け取っています。あなたが参加するものと全ての準備が整っていますので、参加料50万円を支払ってください。解約するなら違約金30万円を支払ってください」

と揺さぶりをかけるわけですね。で、終わったものと思っていた霊感商法被害者は、早く手を切りたいから、業者名の確認もせずに違約金なりを支払ってしまう。またリストが回る。
気をつけていても、次々にこじつけの請求が回ってくる。二次的被害、三次的被害が連続して起こるというわけです。

彼の語った霊感商法の実態は、このスピリチュアルブーム、オカルトブームの中で、さらに被害者を作りつづけている。被害にあわないコツは、“自分というものしっかり持つこと”くらいしかないのだろうか。

(丸野裕行)

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