サイバー警察との攻防劇!闇の職業安定所仕掛け人が語る(2)

某広域暴力団第三次団体に所属する成川氏(仮名、39歳)は、この通称・闇職を利用していた張本人だ。ヤクザのシノギは、原則、仲間同士で行うものである。
だが、ヤクザ組織への就職者難が厳しくなったこのご時世。数少ない極道世界の担い手を簡単に懲役に飛ばすことなどできない。
そこでインターネットが重宝した。ネットの世界は、彼らの仕事体系をも変えてしまったのだ。
いざ、ヤマを踏もうと思った場合、初心な素人を掲示板でスカウトし、そのまま使い捨てするため、アングラネット掲示板を開設した。


携帯役者で月2,000万円のシノギ

オレたちにとって、安定した収益を確保できる目玉の商材として位置づけられているのだ。そのために、今では闇職の中でも最も多く目にする求人のひとつになった。
大阪の場合は、写真のみ携帯電話を契約に行くアルバイトのモノを使用した偽造免許証で作成するというやり方だったが、これが面倒極まりない。
実在しない名義なので、請求先がないので、その点では安全だが、アルバイトの顔写真はコピーされているので、後日検挙される確立が非常に高い。
その点、闇職は他人事だ。運転免許証や健康保険証などの本人の身分証を提出して携帯を契約するため、ほとんどの場合、その請求はキッチリ本人へと行われる。
その時になってから慌ててオレに電話をしてきても、すでにその携帯電話は料金未払いで繋がらない。

偽名を使っているため、名前はモチロン、どこの誰かも判らず、かと言って警察に訴える事もできずに途方に暮れてしまうという寸法だ。
これは、使える……。そう確信したオレはさらに様々な仕事を掲示板にカキコミした。
次に求人募集したのは、銀行口座を開設する“口座役者”や銀行のATMから電話を使ったオレオレ詐欺などで振り込まれた金を引きだしてくる“引き出し役者”。
【超簡単!即金保証!やればやっただけ、稼げます!】

これはワンセットで販売される商品である。
銀行などでは鮮明度の高い監視カメラが設置されているために、コンビニを数件巡って小分けにしてマズい金を引きだしていたがこれを買えば、心配はいらない。
縁組などで名前を変えたうえに偽名を使い、架空名義の携帯電話を使用するなど自分自身の情報を徹底的に隠匿する傾向の強いオレたちにとって自分の姿をカメラに収められることは本能的に受け入れがたい。
なので、闇職に求人を掲載するということになる。そして、表の世界から足を踏み込んできた素人同然の求職者が実行者になってもらう訳だ。

「もしもし、“斉藤”ですけど、卸した金を送付した封筒に入れて、すぐ近くの新大阪駅のロッカー18に入れてください。そこにギャラが置いてありますさかい」

まるでドラマのようだが、こんなことは日常的に全国の主要駅で行われているのが現実だ。
電話一本で済み、顔も見られないからオレたちはいつもどおり枕を高くして眠っていられる。
警察の追求は、金が振り込まれた通帳の名義人と引き出した人間までで、ぷっつりと途切れる。
3つの役者募集で、オレのシノギは月に2,000万になった。

サイバー警察の登場で逮捕者続出

闇職には、様々な人達がそれぞれの思惑を胸に群がってくる。
振り込め詐欺業者、闇金業者、風俗業者、詐欺師、スカウト業者、口座売買業者、多重債務者に家出少女etc…。
目的も動機もそれぞれだが、共通する揺るぎないモノは“金”。
『闇の職業安定所』は瞬く間にアクセス数があがり、オレもシノギがさらにやりやすくなった。次に手を出したのは、“貸しポスト”。

内容は週に2~3回届く配達証明を受け取るというものだ。名字はポストを貸す人間と同じで送られ、受け取れば1通3千円がもらえると言うもの。
これは完全に“違法”である。しかし、そんなことを素人が知っているわけがない。
一見、簡単で安全そうな仕事を装い、実は危険な仕事をさせる。細心の注意を払い、オレはアイデアを出し続けた。
このようにして、次から次へと発生してくる配下の人間を利用して、安全なポジションで、利益を貪る。これができるのは、ほんの一握りの人間に過ぎない。
しかし、いい時期は永遠に続くわけではない。

オレがサイトを利用して2年が経ったころ、闇職発の事件が頻発しはじめた。
稚拙で短絡的な強盗事件や傷害事件が新聞紙面を賑わせたのだ。
末端の人間の増加に伴って、検挙数も増加の一途を辿った。
昨日今日、アングラの裏仕事に関わったような素人が、天下の桜田門の旦那方の厳しい取り調べにダンマリを通す事など、難しい。
従って、洗いざらい知っている事柄を話すことになる訳で、当然、闇職がキッカケになったことも旦那方の知るところだろう。

さらに、天下の桜田門のセクションにはインターネット犯罪に立ち向かうために、元ハッカー等の精鋭を集結して“サイバー警察”と呼ばれる捜査機関を結成した。
日々悪質なインターネット犯罪の捜査が強化されはじめた。

このサイバー警察が犯罪の温床となっている闇職の存在を指をくわえて黙って傍観しているはずもなく、実際に過去に何度となく闇職の管理人は指導やら改善命令を受けているという情報が、人づてに耳に入った。

かつて090金融などが重要な捜査対象と位置づけられた際、その広告を印刷、配布した広告会社を不法行為の幇助として真っ先に検挙したように、闇職が検挙の対象になることも十分に予測はできる。
しかし、闇職と共に犯罪までもが消え去ることはないのだが。

(丸野裕行)

*闇職業の存在を知って巻き込まれないように注意しましょう。

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