仕事にやりがいは求めるべき?

仕事にやりがいは求めるべき?

仕事をするからにはやりがいが欲しい、これは誰しもが望むところでしょう。給料は安くても良いからやりがいが欲しい、そうした思いを抱く人もいるでしょう。そうした人たちの心情につけこむ「やりがいの搾取」という言葉も生まれています。


やりがいは求めるべき?

やりがいはやっかいな言葉です。仕事にやりがいなどないのではないか、そんな問いかけをするのは森博嗣による『「やりがいのある仕事」という幻想』 (朝日新書)です。著者はミステリー作家として活躍していますが、その前は大学院を出て国立大学の助教授をつとめていました。いわゆる一般的な会社勤めはしていません。ですが、大学の教員として、就職してゆく学生たちは身近に見ていました。その立場から、仕事はきついもの、つまらないものと大人たちが声高に叫ぶのは、自分たちの立場を守ろうとしているためではないかと鋭い指摘を行います。さらに著者が務めていた建築学科の学生たちは、皆デザイナーになりたがり、コンクリートを練る仕事にはつきたがらなかった実例もあげます。人はなぜ格好いい(と思われる)仕事につきたがるのか、その心理を根本にたちかえって考えようとします。

質問に対する答え

本書では著者の労働感を示したあとに、読者からの質問に答えてゆきます。理想と現実のギャップ、仕事にあきている、そもそも働きたくない、日本の労働環境は外国に比べれば異常である。いずれも、なんども取りざたされては切り捨てられてきた質問でしょう。いわゆる「つべこべ言わずに働け」というものです。それでも、おためごかしを言うのではなく理不尽な上司への対策としては、付き合おうとするな、人間は付き合いたくないと思う人間は付き合わなくてよいと断言します。スパスパと明快な答えを出しているようでいて、留保もきちっとつけています。よくある仕事の悩み相談とはかなり異なった味わいがあります。これも著者のテイストだといえるでしょう。

    
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