会社が進化するための本質とは

会社を経営するにも、その本質を見極めなければなりません。その例として、私たちにとって最も身近で、直接的に関わり、しかも切実な事案について考えてみましょう。


国家を事業体に例える

「国という事業体」を経営する時、国民人口は消費と労働力供給の源泉です。人口と年代構成と地域分布を把握してバランスを取り、教育や産業振興という施策で国民の生活と安全を守り、その向上を使命としなければなりません。
運営には多大な費用を要しますが、正しい施策の恩恵を受ける国民は、等しく納税の義務を負うことになります。国民は単なる徴税の対象としてではなく、「国という事業体」の存在目的であり、人口動態の維持・改善という人口政策は、「国という事業体」を経営する基本です。

日本の人口ボーナス期は終わっている

高度経済成長の時代、日本の原動力となったのはレベルの高い勤勉性と「人口ボーナス」です。「人口ボーナス」の発生条件は、生産年齢人口が、その他の人口の2倍以上ある場合です。労働力の増加が生産力と個人消費の増大につながり、経済が自立的に発展します。
日本では2005年に人口ボーナス期が終了したといわれています。代わって、中国、インド、ASEAN諸国などが今世紀半ばにかけてその恩恵を受け続けるとみられています。

年金制度存続への苦しい選択肢

今後、日本は人口構成から高齢化がさらに進むことは明らかです。年金原資を後の世代が負担するための人口増加は期待できません。となれば、年金制度を存続するための選択肢は、「受給開始年齢の先送り」「受給金額の減額」「拠出金額の増額」「年金財政を補う税金の増額」の4つに限られます。
このような未来は、第一次ベビーブームと言われる団塊世代が生まれた頃に想定し得たことです。しかし、国が人口問題を中心課題にした事例はなく、それどころか年金原資負担は後の世代に先送りを繰り返すだけ。「国という経営」が無策だったとしか言いようがありません。
「繁栄の中に衰亡の種子が芽生えていた」という歴史の事実を痛感します。

会社経営は先送り厳禁

会社経営は常に「自己責任」と「自助努力」です。問題から逃げる、誰かに依存することは許されません。可能かどうかは別として、問題を先送りにするような国の体質を真似ることはしてはいけないのです。
経営でできることは、付加価値を生まない資産や行動を利益に転換するため、徹底的にムダを排除するに尽きるのです。
今はまだ小さな会社を経営される皆さまには、毎年1%以上計画的に損益分岐点を引き下げ、老いて小さく縮小する国の未来に向けて「エブリデイ・ローコスト」の経営基盤作りをお勧めします。もはや先送りはできません。

参考書籍:大西肇著「『今はまだ小さな会社』が進化するための101の手がかり」(合同フォレスト刊)

    
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