人間の本質とは

人間の本質を知ることは、経営者にとって最も大切なことと言っていいでしょう。会社業務は、社員の育成から取引先の人々との付き合い、商品に対するお客様の心理など、全て人とのかかわり合いに通じています。正しい回答を導くのは容易ではないですが、人の本質を見極め続けることこそが経営者にとってのライフワークと言ってもいいのかもしれません。

「カネ」の力は持続しない

人が動く本質は、「カネ」と「名誉」です。 昇進して給与が上がった当日は、「責任も重くなり、給料も上がったことだし頑張ろう」と思いますが、その翌日には「生活が苦しくて、もっと給料を多くしてほしい」と思うのが人情。「カネ」の効果は、持続性に乏しいのが現実です。 成果配分やストックオプションはモチベーション効果が高いと言われますが、鼻の先の人参は食べてしまったら終わりですし、いつまでも食べられないとしたら、不満の元になります。

責任は「感じるもの」

組織という社会での位置付けが上がることを「責任を持たされた」と思うと苦痛になりますが、仕事がやりやすくなると思えば苦痛ではなくなります。一人ひとりに応じた、「責任を感じる」意識づけが必要です。 人の心は、オーダーメイドです。昇進や昇給に限らず、社運を賭けたプロジェクトを率いるとか、重要なお客さまを担当するとか、従業員旅行を企画運営するとか、会社を代表している、従業員を代表しているといった「責任を感じる」場面の積み重ねが、人を育てます。

人は状況の申し子

孔子は論語の中で、人間の理想像を示しています。特に、「四十にして惑わず、五十にして天命を知る」という一節は有名ですが、「四十にしても惑い、六十にしても惑っている」と実感している方も多いのではないでしょうか。 結局、人間の本質は「性善説」でもなく「性悪説」でもなく、「状況」の中で悩みながら「善」であるときも「悪」であるときもあるのではないでしょうか。人間は信念の中だけではなく、変化する状況の中で生きているというのが真理かもしれません。 会社は、できるだけ「善人」の集団でありたいと思います。それにはまず、「悪人」にならない仕組みと風土作りが必要です。 参考書籍:大西肇著「『今はまだ小さな会社』が進化するための101の手がかり」(合同フォレスト刊)