ジョブズの「持たざる経営」とは

画期的なパーソナルコンピュータ、Macintoshや、携帯電話の概念を突き崩したiPhoneでエレクトロニクス業界に革命をもたらしたAppleの創業者・スティーブ・ジョブズも、小さな会社を世界一に育て上げた人物です。ジョブズがやってのけた「持たざる経営」とは何か?改めて見ていきたいと思います。


「点をつなぐ」に込められた決意

彼は、スタンフォード大学の講演で「点をつなぐ」という言葉を学生に贈りました。人生で思い悩み迷った道の中で、今日につながる貴重な「点(ドット)」を作った、という示唆です。
Macの最大の特徴である多彩なフォントは、中退した大学で熱中したカリグラフィ(書道)が源です。経営者の座を追われる原因となった不振在庫の山は、情報と物流を活用した「持たざる経営」に生かされ、NeXT社で取り組んだOSは、アップルの基幹OSになりました。
その時々で懸命に取り組んだことひとつひとつが深い「点」になり、「世界中の人々がコンピュータを使う社会にする」という、創業時からの「決意」の実現につながったということではないでしょうか。

寵児から追放の身へ

ジョブズは1976年、相棒のスティーブ・ウォズニアックとともに自宅のガレージでアップルコンピュータを起業。今日のパソコンの原型を世に送り出し20代にして寵児となりました。
しかし起業からわずか8年後、Macintoshの売上予測を見誤り赤字決算を招き、これをきっかけに、ついには自分が起こした会社を追われる身となりました。

失敗から古巣返り咲きへ

それでも、ジョブズの「世界中の誰もがコンピュータを使う社会にする」という決意が揺るぐことはなく、アップルの保有株をすべて売却した資金でCGアニメ制作のピクサー社とNeXT社を設立。
ピクサーはディズニーとの協業が成功する一方、NeXTの方ではワークステーションの事業がうまくいかず、ソフトウエア開発に特化。その時、次世代OSの開発が暗礁に乗り上げていたアップルに、ジョブズは「NEXTSTEP」を提案。これを期にジョブズはNeXTをアップルに売却し、自ら古巣に返り咲いたのです。

「諦めの悪さ」という強み

並の人間なら、自分が作った会社を追われた時点で最初の信念を放棄しているのではないでしょうか。でもジョブズは、そんなことは夢にも思わず、元の会社に返り咲き、エレクトロニクス業界の既成概念をことごとく打ち破っていきました。これを諦めの悪さと言わずしてなんと言えばいいでしょう。単なる熱意という言葉だけで説明できるものではありません。

参考書籍:大西肇著「『今はまだ小さな会社』が進化するための101の手がかり」(合同フォレスト刊)

    
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