ブックオフ成功の理由はシンプルなビジネスモデルにあった

ブックオフ創業者の坂本孝さんは、ブックオフを創業するまでは様々な事業で失敗を繰り返しました。坂本さんの起業家人生で11戦目にあたる、中古ピアノ販売で成功をおさめ、その後中古販売のノウハウを活かし、ブックオフを始めました。今回は、ブックオフの始まりとブックオフが成功した理由であるビジネスモデルについて紹介します。


ブックオフのアイデアは古本屋から

坂本さんはブックオフの前に手がけていた、中古ピアノ販売のビジネスで成功をおさめ、中古ピアノ販売のように市場に限りがある賞品ではなく、たくさんの人と関われるような中古商品をやりたいと思うようになっていました。

そんなとき25坪ほどの古本屋さんに訪れた時に、ブックオフのアイデアは生まれました。古本が1000円、500円、100円と分かりやすく並んでいて、立ち読みは自由だし、売りに来る人もいっぱいいて、定価の半額程度の古本が飛ぶように売れていました。

「よしっ、これだ!」

中古ピアノで使った仕組みを古本に当てはめていけば、20~30店舗くらいは簡単にいけると坂本さんは感じました。

ブックオフの始まり

1990年5月、神奈川県相模原市に、35坪の中古書籍販売店を出しました。これが「BOOKOFF」1号店です。開業する前に、知り合いの古本屋さんに相談して過剰在庫を分けてもらいながら、とにかく1店舗目をつくろうと躍起になっていました。

チラシをつくって、中吊り広告も出したところ、朝10時のオープンに70~80人もが行列をつくり、その行列は閉店の夜10時まで続きました。

「この商売は、なんてすごいんだろう」
「こんな簡単なことを、これまでどうしてやらなかったんだろう」

行列が絶えず、古本がよく売れている様子を眺めながら、こんなことを考えていたのです。古本屋さんは、東京・神田神保町に代表されるように、目利きが必要な商売とされてきました。

「この本は希少価値がある」
「帯があると高値になる」
「著者のサイン入りはもっとすごい」

などきちんとした価値基準がちゃんとあるのです。「難しいビジネスだなあ」と坂本さんは感じていましたが、この値付けはマーケットが望んでいるものではなく趣味の世界だと気付いたのです。

本がきれいかきれいじゃないか

ならば、従来の古本屋さんとは真逆に、目利きは存在せず、本がきれいかきれいじゃないかで、ブックオフ独自の価値基準、判断基準をつくろうと考えたのです。その1つが、仮に定価1000円のきれいな本を、100円で仕入れて、500円で売るという基本です。

希少本、絶版本など、スタッフが査定できないわかりにくい本は、「うちより神田の古本屋さんのほうが高く買い取ってもらえますよ」と言っていました。ブックオフは、本の価値ではなく、きれいかどうかだけで価格を決める。それ以外のことは絶対にやりませんでした。

本を売りにやってくる人のほとんどは、換金目的ではありません。いままで慣れ親しんだ本をゴミにするのは避けたいと思っているのです。安くてもいいから、本が世の中のお役に立つのがいい、そういう人が多いのです。

ブックオフ1号店は35坪でスタートしましたが、坂本さんが試みた仕組みが上手く軌道に乗り出して、すぐに200坪の大型店を堂々と出していくようになりました。

フランチャイズ

ビジネスモデルをきちんと使って、地道に店を増やしていったことが、不況にも負けず、ブックオフが大きく成長した要因です。

古本屋さんは景気にまったく関係のない仕事かもしれません。不景気ということもあり、新刊の書店から古本屋さんに乗り換えた方も多かったのです。マスコミはブックオフの業態に飛びつきました。おもしろい古本屋ができたということで、さまざまなメディアに取り上げられたのです。

そして、ブックオフ急成長の要因であるフランチャイズで店舗展開していくことになりますが、フランチャイズのスタートは募集したのではなく、テレビや雑誌を見た人から「加盟店にさせてほしい」と、電話がかかってきたのがそのきっかけでした。

フランチャイズの1号店は、岐阜県のロードサイドにオープンしました。「うちはフランチャイズなんて、実績ないですよ」と坂本さんは言いましたが、「こちらでノウハウを持っているので、どうしてもやらせてほしい」と言ってはじめたのです。

初めてのオーナーは、ゲームやビデオのレンタルを手掛けていましたが、それは市場が変動しやすいのでもっと独占的にできる業態を探していました。コミック、ゲーム、ビデオの中古品にプラス古本販売という複合店を出すことで、お客様の利用動機が高くなり、評価を得られるのではないかという主旨でした。

他には、昔、オーディオ販売をやっていた坂本さんの仲間からも加盟店の申し出をもらいました。中古家電の売場にブックオフを併設するなど、それぞれのオーナーさんがブックオフのビジネスモデルを自社の仕組みと融合させるなどをしていました。

フランチャイズこそ競争優位性が大事

フランチャイズとは一体何なのでしょうか。

このことを、ある会社の本部の人に聞くと、「加盟店に投資させて金儲けをする商売で、リスクが少なくていいですよ」といいます。

加盟店に聞くと「フランチャイズは儲かるからいいよと言われるのに、売上が伸びないし、本部に指導を希望すると自分たちでやるようにと言われる」といいます。

加盟店は、命を懸けて、家を担保に入れてまで取り組んでいるのに、本部さえ儲かればいいという考えが少なからずあったのではないでしょうか。

さらに、本部と加盟店の関係性に性悪説がはびこります。本部も加盟店も、業績がよくないのは相手のせいにしてしまいがちです。本部は、金儲けだけを考え、加盟店は、何もかもを本部に頼っているからです。こういう関係性には、明確なビジネスモデルというものが存在していません。

フランチャイズを始める際には、他が追随できないような競争優位性をつくらなくてはいけないのです。

ブックオフのビジネスモデル

ブックオフのビジネスモデルは、たった5分で説明できるものです。定価1000円のきれいな本を100円で仕入れて500円で売る。3カ月経過して売れないものは100円に値段を落としていく。これは、価格と価値がアンバランスになって市場が「500円は高いよ」と言っているということだからです。

また、3冊以上同じ本がたまったら100円にする。他に、研磨機の使い方、在庫の処分の仕方など、あらゆることがパート・アルバイトで運用できる、かなりシンプルなものです。

それが、いまや10000店舗あるチェーン店の仕組みなのです。シンプルなビジネスモデルなのに、追いかけてくる人がなく、圧倒的なシェアをブックオフが占めています。1000舗規模になってくると追いかけにくいのかもしれません。

このようにブックオフはシンプルなビジネスモデルながらも、強力な競争優位性が障壁となり今も圧倒的シェアを維持しているのです。

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参考本

「俺のイタリアン、俺のフレンチ(坂本孝)」

    
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