俺のイタリアンが強い2つの理由。飲食業界の常識にとらわれない俺の経営戦略

格安で高級イタリアンの味を楽しめることで大人気の「俺のイタリアン」。なぜ、ここまで「俺のイタリアン」は強いのでしょうか? その強さの秘密は、飲食業界の常識にとらわれない俺流の経営戦略がありました。


料理人に仕入れの裁量権を与える

飲食業界の常識では、料理人には仕入れの交渉をさせないということになっています。料理人は価格や人事について決定権を一切持ってはいけないというおかしな決めごとが存在します。

俺のイタリアンでは、店舗での裁量権を料理人に与えています。大企業にはまねできない、後発の飲食業だからこそできる考え方です。また、これまでのよくない常識として、料理人は業者さんと癒着するという性悪説がはびこっていました。

しかし、店がオープンキッチンになっていて、厨房で働く料理人がお客さまにとって近くで見えるというのは、劇場の舞台で演じている役者と観客の関係に似ています。飲食店は劇場なのです。

その中での主役は誰、料理の素材の品質と価格の背景を最も熟知している料理人です。おいしい料理をつくるために、それに関することではっきりと主張できるのは現場のトップに立つ人です。サラリーマンの商品課の係長ではできません。ですから、現場のことを最も分かっている料理人に裁量権を持ってもらうのは俺のイタリアンでは、当然の流れだったのです。

原価率を高くする

ビジネスで成功するためには、差別化をいくつつくれるかが勝負です。「俺のイタリアン」「俺のフレンチ」の差別化とは、まず、原価率を高くして、優秀な料理人によって価値を高めていく。そして価格を、大衆の手の届くところにきちっと決めるということに取り組んできました。

大衆の手の届くところに値決めをするというのは、ものすごく難しいことです。これは、知恵の競い合いです。値決めは、会社側の利益と、お客さまのおいしいと思う価値の、双方がよしとする点を選ぶことです。つまり、経営の最たるところです。稲盛和夫氏が提唱する「経営12カ条」にも、「値決めは経営」という文言があります。

俺の株式会社では、その値決めに料理人が加わります。すると、自分が値決めをしたような錯覚に陥ります。皆が「このレシピは自分が考えて自分が値段を決めたんだ」と思うのです。もしこれが「社長が決めたレシピで社長が決めた値段」だとしたら「料理人である私の価値はなんだ?」となるでしょう。一方、自分で値段を決めたと思い込んで、それでたくさんのお客様が喜ばれていると、その思い込みは確信となっていきます。

このように、料理人が裁量権を持ち経営に入り込むという仕組みは、大きな競争優位性となり、参入障壁を高くしていくのです。

競争優位性を加味しながら経営戦略を考える際に、俺のイタリアンの考え方は非常に参考になります。自社にも取り入れることが可能か考えてみてはいかがでしょうか?

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参考本

「俺のイタリアン、俺のフレンチ(坂本孝)」

    
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