銀座8丁目に集中して店舗を出す? 「俺のイタリアン」のドミナント戦略

高級イタリアンを安価に食べれることで大人気の「俺のイタリアン」。現在、他店舗出店を果たし、破竹の勢いで成長を続けています。「俺のイタリアン」を経営する「俺の株式会社」の強さの秘密は、独自の立地戦略にありました。


「20坪」「1階」、大商圏の立地を求める

俺の株式会社では、当初、恵比寿、六本木、青山などが物件の候補に挙がっていました。原価率を高めて回転数を上げるためには、人口の多い、集客できる立地でなくてはいけないからです。条件のキーワードは、「20坪」「1階」です。

新橋神話

「新橋神話」をごぞんじですか? 新橋は普通に営業していれば十分に採算が取れる土地といわれています。近隣のビジネス街、浜松町や田町の人が会社帰りに立ち寄って、飲んでから帰路につくとしても、山手線、京浜東北線など終電の遅い路線が複数入っているので、飲食店にとって最高の駅と言えます。実際、俺のイタリアンも新橋に出店し大成功を収めています。

銀座8丁目へのドミナント戦略

俺の株式会社では現在、銀座8丁目に集中して出店していく方針をとっています。店舗展開は一般的に、銀座でうまくいくと次は六本木に出そうとか、新宿に出そうとか、渋谷に出そうとか、このように商圏が広い繁華街に出していくことを考えます。しかし、そういう店舗展開をあえて行いません。「銀座8丁目に20店舗出しちゃえ」という考え方なのです。

なぜ銀座に集中出店するのか

まず、銀座とはどういう場所なのでしょうか。銀座の定義は、「一流の人しか集まらない、一流の店だけしか集まらない」というものです。ところが、銀座に出ることが一流の証だと勘違いをして出店して、失敗するのです。

銀座に来て、銀座に通い慣れたお客さまの目で区別されると、二流の店は瞬く間に潰れてしまうのです。そういう、栄枯盛衰の激しい場所が銀座なのです。そのため、「銀座を制するものは、日本を制する」と言っても過言ではありません。これが和食だったら、「銀座を制するものは、世界を制する」と言ってもいいでしょう。

特に、寿司。寿司は銀座です。西麻布のお寿司屋さんで接待しても二次会を行う場所がない。なぜなら、お寿司屋さんの次に行くお店はクラブだからです。クラブは銀座8丁目に一番多いのです。だからお寿司屋さんは銀座8丁目にたくさんあるのです。

同一エリアに集中出店する理由

同一エリアに集中出店して自社間競争をするのは、それが切磋琢磨につながりよい効果をもたらすからです。自社間競争を銀座でやろうという企業はありません。それは、銀座に出店すること自体が、過酷な競争にさらされることを意味するからです。いま、銀座8丁目で2店舗以上あるのは、他にはコンビニチェーンだけです。

俺の株式会社にとって、今後の戦略でとても重要なのは、銀座8丁目に集中的に出店することです。つまり、「銀座8丁目ドミナント戦略」です。「銀座8丁目に、「俺のイタリアン」が何店舗もあり、「俺のフレンチ」も何店舗もあり、すべてシェフが違って、味が違って、すべての店舗で行列ができて…」という状況になる世界を実現させようと考えています。

なぜ「銀座8丁目ドミナント戦略」なのか?

なぜ、俺の株式会社では「銀座8丁目ドミナント戦略」を追求していくのでしょうか。それは、激烈な自社内競争をして、自社の全部の店をどんどんいい店にしていくためです。銀座で繁盛したら、次は、六本木、新宿、渋谷と考えていくのは、自社内競争を避けて、お客さまのボリュームが厚い立地に出店していくということですが、店にとって本質的に大切なのは、お客さまに無数のお店の中から俺の株式会社の店を選んでもらうことです。そのために、お客さまのボリュームの厚い立地に転々としていくことよりも、自社内競争で切磋琢磨して、すごい店になることがはるかに重要なのです。

これからの競争では、自社内競争に挑んでいないと、それぞれの店舗は少しずつ弱ってしまって、いつの間にか消えてなくなってしまうでしょう。銀座8丁目ドミナントの過程で、自社内競争で店を鍛えているのです。

常人では考えられない立地戦略に強さの秘密が隠れていました。ブックオフを成功させた手腕はここでも生きています。

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「原価率を高く回転率を上げて成功した「俺のイタリアン」の経営戦略」

参考本

「俺のイタリアン、俺のフレンチ(坂本孝)」

    
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