原価率を高く回転率を上げて成功した「俺のイタリアン」の経営戦略

飲食店では原価率を下げることが経営のポイントと言われています。しかし、立ち飲みで上質なイタリアン料理が楽しめる「俺のイタリアン」では、あえて原価率を高くすることで人気となりました。今回は、「俺のイタリアン」を運営する「俺の株式会社」の経営戦略を紹介します。


フード原価率88%でも赤字にならない業態

ビジネスを組み立てる時に、大切なのは「競争優位性」です。「競争優位性」を差別化要因として、参入障壁を高く維持するのです。価格設定は「競争優位性」の大きなポイントです。

では、料理の単価がいくらで、お客さまがどのくらい来店されて、経費がいくらであれば、どこまで原価を上げてもいいと思いますか? 

実は、お客様の回転数が上がれば、原価率60%の方が利益を出しやすいのです。

原価よりも回転数

ポイントは回転数です。これは会社の大きな差別化になります。「立ち飲みの業態であれば、回転数を上げられて、原価率を高くして、いいものを出してもいけるのです。

4回転するのであれば、フード原価率を80%にしても問題ありません。逆に、1回転しかしないと、原価率0%でも赤字です。つまり、原価率はさほど問題ではなくて、回転数が大切なのです。

家賃を例に挙げれば、家賃比率が15%というのはよくある数字ですが、これはお店の回転数を1回転と想定しているものです。これは超高級レストランの想定になります。超高級レストランであれば4人席に3人座ることもあるので0.75回転しかしません。

それが仮に4.5回転すれば客数は6倍となります。売上げが6倍に上がることにより、家賃比率は2.5%まで落ちることになります。普通の家賃比率15%に対して2.5%であれば、12.5%浮くことになり、その分を原材料につぎ込んでも大丈夫ということになりす。

また、超高級レストランのフード原価率は20%程度と言われています。料理人の腕がいい分、原価率が低いのです。内装がきれいな分、内装コストもかかっています。

超高級レストランに対して、「俺のイタリアン」「俺のフレンチ」の原価率が90%とするならば、価格は5分の1となります。超高級レストランの3000円の料理が5分の1だと600円です。

それより少し安く580円という価格をつけたとしましょう。3000円のものを500円台で売ると、お客さまはいくらなんでもびっくりするでしょう。

実際、「俺のイタリアン」では580円が最多価格帯です。金額の末尾の8と9は安く、3と4は高く感じます。昼食代が500円の時代ですから、10円、20円の差はお客さまにとってはとても大きいのです。

商品の価格構成の中で、その会社が一番多く打ち出している価格帯に、その会社の精神と宿命は宿っています。価格構成の中の最多価格帯に対してどれだけの価値を持てるか、それが企業戦略そのものなのです。

常識にとらわれないで考えることが、経営戦略の競争優位性につながります。原価率を低くすることよりも、原価率を高くしてでも回転率を上げることが大切です。

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参考本

「俺のイタリアン、俺のフレンチ(坂本孝)」

    
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