銀行員や会計士が「貸借対照表」で騙されてしまう3つのポイント

半沢直樹の影響で財務に興味を持った人も多いのではないでしょうか? 今回は、貸借対照表で銀行員や会計士でも騙されてしまう3つのポイントについて説明します。


ポイント1. 売掛金

まずは売掛金です。粉飾には大きく分けて2種類あります。ひとつは、会社の売上高や利益を大きく見せるもの。もうひとつは、主に脱税のためですが、売上高や特に課税所得を小さく見せるものです。

もちろん、後者も許されることではありませんが、安全性という観点からは問題は小さいです。前者の売上げを大きく見せる粉飾の場合、たいていは現金は入ってきませんから、売掛金が膨らみます。

ですから、前年度と比較して売上高に対して売掛金の比率(売掛金÷売上高)が異常に増加している場合には、「何かあるかも」と思ったほうが良いかもしれません。

もちろん、期末に押し込み販売などを行った場合にも売掛金は増加しますが、このような会社の場合には、毎年同じようなことを行っている場合も多く、やはり、売上高に対する売掛金の比率が増加した場合には要チェックです。この粉飾は比較的簡単に見抜けます。

一方、売掛金に関しての粉飾を見抜くのが難しいのは、実際に売掛金が存在したが、相手が倒産したなどの理由で売掛金が回収不能になったにもかかわらず、それを貸倒引当金として落としていない場合です。業績の悪い企業の場合、相手方の倒産で貸倒引当金を積むとその分損失が増えるので、売掛金をそのままにすることもありうるのです。

このような場合、短期的には売上高に対する売掛金の比率が大きく変わらない場合もあります。長期的には売掛残高が落ちないわけですから比率は上がりますが、短期的には分かりにくいことが多いのです。

上場企業の場合には、監査法人などが売掛金の相手先に、実際にその売掛金が存在するかどうかの確認をしますが、非上場の会社の場合には、確認作業ができずに、騙されるということにもなりかねません。流動資産の中で、売掛金の比率がもともと多い会社に対して与信を出す場合には、できれば売掛金の中身の確認をするほうが無難でしょう。

ポイント2. たな卸資産

たな卸資産には、製品在庫、仕掛品在庫、原材料在庫がありますが、売掛金よりも分かりにくい場合が少なくありません。監査法人が監査しても、せいぜい在庫の数を見るくらいで、その在庫が実際に将来に売り物になるかどうかの判断はできないからです。

企業によっては、古くなって売れなくなった在庫をそのまま計上している場合があります。通常は、売れなくなった在庫は、その分損失を計上して貸借対照表上の在庫(たな卸資産)の残高を減らすのですが、業績のしんどい時には、先の売掛金同様、損失を先送りすることもあります。実際に在庫が存在しても、それが売れるか売れないかは外部の人には分かりにくいのです。

これも、売上高に対してのたな卸資産の比率や、売上原価に対しての比率でチェックして、この数字が増加傾向にあれば要注意ということになります。

特に、売上高が減少傾向にあるのに、たな卸資産残高が減少していない、あるいは増加している場合には注意が必要です。

ポイント3. 長期借入金

上場企業の場合には心配ないのですが、「長期借入金」もくせものです。上場企業の場合には、長期借入金や社債で返済が1年以内になったものに関しては、「1年以内返済予定の長期借入金」などに項目変更し、固定負債から流動負債に残高が移されます。

しかし、大多数の中小企業は、この項目替えを行っていません。いったん長期借入金として計上したものを、期日が1年以内になっても、流動負債に項目替えしていないのです。そうすると、流動比率や当座比率が実際の数字と違ってきます。

ですから、監査法人の監査を受けていない中小企業の場合には、流動比率などが良くても、長期借入金が返済できずに、突然倒産ということもあります。長期借入金の残高が多い場合には、そのうち1年以内返済分がどれくらいあるかを確認することも必要です。

半沢直樹のように、騙されることなく、粉飾を見破れるように会計の知識を持つようにしましょう。

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