節税をする会社は成功できない

会社を成功させるためには節税が大切と言われています。しかし、本当に会社を成功させたければ税金から逃げてはいけません。本当のところ「節税」ばかりやり過ぎると、会社はとんでもないことになってしまいます。「社長のための非常識な会計ルール」より、節税をやり過ぎてはいけない理由を紹介します。


■節税とは

節税は法人税をおさえることから始まります。法人税では、会社の利益に対して税率を掛けて、税金を計算していきます。利益が増えれば税金も増え、利益が減れば税金も減るという仕組みです。このため、節税とは、「利益を少なくする」作戦になります。利益を少なくするためには、経費を増やさなければなりません。そこで決算が近づくと、経費を増やすために、お金を使い、利益を落として、税金を減らす「節税」が始まるのです。

■節税は無駄遣いの始まり

この節税によって会社には不幸なことが起こります。利益が500万円あったとすると、法人の税金はおよそ40%の200万円となりますから、手元に300万円のお金が残ることになります。

一方、この200万円の税金をゼロにしようと思えば、利益のほうもゼロにしなければなりませんので、500万円の経費が必要になります。ほとんどの経営者は、500万円を使い果たそうとしてしまいます。

すると、たった200万円の税金を納めたくないばかりに、500万円ものお金を使い果たすことになります。税金を納めれば300万円のお金が手元に残るのに、500万円がなくなってしまうのです。

■節税は内部留保を妨害する

節税がしたいときは会社が好調なときです。会社に利益があって、節税したくなります。節税がしたい状態のときに会社では「資産」が増える傾向にあります。

例えば、販売が好調であれば、もっとたくさん売ろうと思って仕入を増やします。これに伴って在庫も増えていきます。もちろん、毎月の売上高が増えていけば、自動的に売上債権も増えていきます。自然な流れとして「資産」は増えていきます。

ここで、貸借対照表を考えましょう。貸借対照表は、資本の調達源泉として「負債」と「純資産」があり、その資本の運用形態として「資産」が表示されています。そして、この運用と調達は、合計額が一致します。この貸借対照表の仕組みから言えることは、「資産」が増えるためには「負債」もしくは「純資産」によって資本を調達しなければならないということです。

ここで、問題となるのは、事業の成長拡大に伴う「資産」の増加を、どのような資本調達で賄うかということです。「資産」が1億円増えたとすれば、同じ1億円だけ「負債」か「純資産」によって資本調達をしなければいけません。

「純資産」は、オーナーである株主が事業に拠出したお金と、毎年の利益の内部留保を意味しています。「純資産」は、将来の返済が不要な資本調達です。そこで中小企業が「純資産」を増やすために増資をして新しい株式を発行したとしても、上場企業とは違って、これを引き受ける相手がいません。上場を目指しているベンチャー企業であれば、ベンチャーキャピタルなどの投資家が興味を持ち、増資を手伝ってくれることもありますが、そうではない普通の中小企業の場合は、社長自らがお金を出して増資するしかなく、このような方法には限界があります。

そうなると、「純資産」による資本調達の残された道は利益の内部留保ですが、これを「節税」が妨害してしまいます。節税の基本は、利益を減らすことです。業績がよく利益が増えたときに、その利益を減らし「節税」をがんばってしまうのです。そして、この「節税」によって利益を減らしてしまうために、十分な内部留保ができなくなります。

■節税をやり過ぎると借金まみれ

ビジネスが好調で「資産」が増加傾向にあるときに、それを「純資産」による資本調達で賄うという最良の手段が封じ込められてしまいました。残された道は「負債」、つまり借金による調達だけです。「負債」は、いずれは返さなければいけません。

しかし、貸借対照表の仕組みを見れば明らかなように、事業が拡大しているときに、節税によって利益を減らしたために十分な内部留保を確保できなければ、借金に頼る以外方法がないのです。こうして、「節税大好き→借金まみれ」というダメな会社が出来上がります。

節税に熱心過ぎる会社は、必要以上に借金が膨らむ傾向にあります。借金は利益から返さなければいけません。借金を返済していく過程で、最初に節税した分の税金を、徐々に吐き出すことになります。長い目で見れば節税効果はチャラになってしまいます。

もしも、この税金も納めたくないとすれば、商売を一気に縮小するか、一生借金を抱え続けるかという決断を迫られます。ずっと借金を抱え続けていられるのはラッキーなほうでしょう。しかし、銀行と税務署のためだけに働いているような状態が続きます。そして、いつかどこかで経済環境が悪化すれば、そういう会社は潰れてしまいます。

結果として、「節税のやり過ぎが、債務過多の元凶」になってしまうのです。今回紹介した「社長のための非常識な会計のルール」では、節税だけでなく、会社経営に役立つ「非常識な会計」ルールが紹介されています。会社を成長させたい人に、おすすめの一冊です。

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