「1秒」だけ財務諸表を見るとすれば税理士はどこを見る? 財務諸表を見るコツ

会社の経営状況を見るとき、いつも万全の資料があるとは限りません。もしあったとしても、十分な時間が与えられるとも限りません。そんなとき、常により良い判断ができるように貸借対照表や損益計算書など財務諸表を見るコツがあります。「1秒」だけ財務諸表を見るとすれば税理士はどこを見るのでしょうか?


■「1秒」で貸借対照表を判断するなら

例えば貸借対照表を1秒だけ見る時間を与えられ、会社の財務状況を判断しなさいと言われたら、主に企業の安全性を判断します。

■短期的な安定性を確認しないと会社が潰れてしまう

「1秒」で貸借対照表を判断するなら、短期的な負債の返済能力をチェックしましょう。企業は、「流動負債」を返済できなくなって倒産します。

■流動負債

流動負債とは、1年以内に返済義務のある負債です。その流動負債を返済するための資金繰りがつかなくなると倒産に直結するのです。目の前にある負債を返済できなければ、倒産する可能性が高まるのです。その流動負債の返済能力を見る指標のひとつを「流動比率」と言います。

■流動比率

「流動比率」の式は「流動資産÷流動負債」です。流動資産は、現預金や売掛金、棚卸資産(在庫)など、すぐに資金化できるか、すぐに使う資産のことです。

しかし、計算していると1秒では分かりません。流動資産が流動負債よりも多いかどうか、つまり流動比率が100%を超えているかどうかはすぐ分かります。計算する必要はありません。流動負債をまかなうだけの流動資産があれば、まず、当面は大丈夫というふうに考えるのです。

貸借対照表には、流動資産の合計と、流動負債の合計が普通は記載されていますから、一瞬でその判断はできます。しかし、これはあくまでも一般論です。商品を売ってから資金を回収するまでの期間と、在庫などを買ってから支払いを行うまでの期間が近い会社の場合は、この一般論が当てはまります。卸売業や大多数の製造業です。

流動比率は120%以上あるのが望ましいですが、業種により大きく違います。1秒で見分けられる会社とそうでない会社があります。

小売業など、「日銭」が入る業種は、100%をかなり下回っても大丈夫ですし、電力や鉄道など、設備投資額は大きいが、普段はそれほどの大きな出費がなく日銭が入り、キャッシュフローが安定している会社の場合は、流動比率が60%程度でも十分に資金が回ることもあります。

一方、売ったけれども資金の回収が遅いなど現金化が遅い会社の場合、具体的には受取手形・売掛金が、支払手形・買掛金にくらべて大きい場合には、120%でも資金繰りがしんどいことがあります。

たとえば売掛金(国への介護保険金請求)の現金化に時間のかかる介護ヘルパーの会社が典型ですし、在庫が多い業種も同様です。この資金繰りに関しては、一般論でなくケースバイケースで考えなければなりません。

一般的には流動資産と流動負債の額を比べることで、1秒で会社の短期的な安定性についてある程度判断できます。

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