ベストセラービジネス書の嘘。成功している会社経営の真似をするだけではビジネスは成功しない。

あなたは、「ビジョナリー・カンパニー」、「エクセレント・カンパニー」、「本業再強化の戦略」といったベストセラーのビジネス書を読んだことがありますか? こういう本の著者は、シンプルだがとても説得力のある法則を持っています。彼らは、とても成功しているいくつかの会社経営を見て、何が共通しているかを探し、「これこそが正しい戦略だ」と結論づけます。そして読者に対して、みんな同じようにするべきだ、そうすれば大儲けできる、と勧めています。しかし、本当に「ビジョナリー・カンパニー」を真似すれば成功できるのでしょうか? もっともらしいベストセラービジネス書の嘘に関する話を「ヤバい経営学」より紹介します。


■ベストセラービジネス書の嘘

ビジネス書が述べるよりも、現実はずっと複雑です。多くのビジネス書が引き出す結論の一つが、企業はいくつかのコアビジネスに集中するべきだ、というものです。「本業再強化の戦略」の著者クリス・ズックとジェイムズ・アレンが、調査対象の1854社のうち、優良企業の78%が1つのコアビジネスに集中しているのに、低迷企業は22%しか1つのコアビジネスに集中していない、ということを発見しました。そこで2人は、企業はコアビジネスに集中するべきだ、と結論づけました。オックスフォード大学のジャーカー・デンレル教授も指摘していますが、これは、ちょっと単純すぎではないでしょうか。

この2人の「アドバイス」が、見過ごしていることがあります。低迷企業は、もっと儲かるビジネスを探そうとして、多角化することが多いのです。つまり、1つの事業に集中していないのは、業績低迷の原因ではなく、結果なのです。それに対して、うまくいっている企業では、成功しているビジネスに集中するのは一般的な戦略です。1つの事業への集中は成功の原因ではなくて、結果なのです。

ベストセラーのビジネス書の著者は、原因と結果を逆にしています。つまり、みんなにコアビジネスへの集中を勧めるのは、良いアドバイスとは言えないのです。同じように、多くのビジネス書は、取り上げている高業績企業が、とても強い企業文化を持っているようだ、と主張しています。そこで、「強い企業文化を育もう」という話になるのです。わかりやすすぎるくらい単純な話です。しかし、これも正しい議論ではありません。

アカデミックな世界では、成功が徐々に均質な組織文化を作っていく、という法則がよく知られています。まとまりのある企業文化は、企業の成功の原因ではなく、結果なのです。しかも悪いことに、独善的で視野が狭い企業文化を作ってしまうと、問題の原因にもなります。会社の環境が変わり、周りのビジネス環境も変わると、企業文化は会社を硬直させ、新しい環境に適応するのを妨げます。「成功の罠」として知られる現象です。

■エクセレント・カンパニーの矛盾

「エクセレント・カンパニー」の著者、トム・ピーターズとロバート・ウォーターマンは、「世界で最も優れた企業」43社を分析し、強固な企業文化が優良企業に必要だと主張しています。しかし、当時の「世界で最も優れた企業」43社は、今では数社くらいしかリストに残らないのです(ジョンソン・エンド・ジョンソン、インテル、ウォルマート)。それ以外の企業は、リストから落ちてしまったか、どこかへ消えてしまったのです。ここで言いたいのは、「関係があることと、因果関係があることは異なる」ということです。成功企業がコアビジネスに集中し、強固な企業文化を持っているからといって、成功の原因だということにはならないのです。むしろ重要なのは、成功企業の特徴をただ真似ることは、逆に会社を成功から遠ざけてしまう可能性がある、ということなのです。

ビジネス書を全て丸呑みにしてしまうのは危険です。自分のビジネス経験を基に取捨選択できるようになることが大切です。最後は、自分の頭で考えることが大切なのです。

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