成功している会社の社長は本当に有能なのか? リスク管理と運の関係

有名な会社の社長は、本当に他の無名の社長よりも有能なのでしょうか。実際のところ、有名な社長が高い実績をあげているという証拠は存在しません。もしかすると、最も業績をあげている社長こそが、実は一番どうしようもない社長なのかもしれません。今回は、リスク管理と運の関係をもとに、成功している会社の社長が本当に有能なのか調べてみました。


■ビジネスの世界はリスク管理ができない

ビジネスの世界はリスクに満ちています。社長は、自分が望んでいることを分析し、計画し、議論し、情報を集め、偏頭痛がするまで考え倒すことができます。しかし、思ったとおりにいかないこともあるし、成功するかどうかを予測することはできません。

では、会社を取り巻くリスクの管理についてはどうでしょうか。どうすれば優れたリスク管理者になれるでしょうか。一番確率の高い選択肢を選ぶ、という方法があります。それでも時には勝ち、時には負けることには変わりありません。

■リスクとリターン

しかし、リスクとリターンのトレードオフ分析を、注意深く行うことで、最小限のリスクで最大限のリターンを得られるように計算しているのです。優れたリスク管理者は、国債の購入のようなリスクの低い選択については、低いリターンを受け入れます。また、株式市場への投資のような、期待リターンが高い選択については、もっと高いリスクを受け入れます。

■ダメなリスク管理者ほど大金を稼ぐ

ダメなリスク管理者は、このような関係を理解していません。リスクが高いのに、低い平均リターンを受け入れたりもします。しかし、高リスクなのに、低い平均リターンを受け入れてしまうダメなリスク管理者が、時々がっぽり大金を稼ぐことがあります。

つまり、高業績を誇る社長の上位1%を見てみると、このリスクとリターンの関係を理解していない人たちである可能性が高いのです。そう、こういうリスク管理者はとてつもなく幸運なのです。

■ダメな社長ほど好業績

スタンフォード大学のジェームズ・マーチ教授によれば、社長についても同じと言っています。目を引くような高業績をあげている社長は、リスクとリターンの関係を理解していません。こういう社長が、業界内で一番業績をあげている社長です。そのため人は、何もわかっていないダメな社長のことを、素晴らしい社長だと思ってしまうのです。さらに、社長自身も

「また勝てるぞ、私は素晴らしい社長だ」

と自分自身を信じ込んでしまうことにもなります。確かに、この社長は、一度は幸運をつかみ、二度目や三度目も、もしかしたらあるかもしれない。しかし最終的には、社長の運はどこかで尽きてしまうのです。ベルナール・タピは、1990年代に独アディダスを買収して名を馳せましたが、その後撤退を余儀なくされました。

ファンドマネージャーや株式市場で利益をあげようとしている人たちについても、同じことが言えます。最も投資成績のいいファンドは、必ずしも一番能力が高いファンドではありません。

■バカは運を引き寄せる

あなたは、「株式投資ゲーム」というのを知っているでしょうか。参加者は最初に与えられた仮想資金で自分の好きな銘柄を「購入」します。そして、6カ月など一定期間後に、最も高いリターンを得た参加者が、賞金や仕事を得るというものです。しかし、最も高いリターンを得るのは、わけがわかっていない人です。

なぜなら、このゲームに勝つには、最もバカげていて、非論理的で、リスクが高い投資をして、それが当たるのを待つという方法しかないからです。能力があって注意深い投資家は、資金を失わないし、十分なリターンを得ることができるでしょう。しかし、それでは一番高い成績を得ることはできないのです。

ここでの問題は、「バカは運を引き寄せる」ことです。100回のうちの99回はうまくいかなくても、最終的な勝者は100番目のおバカさんになるのです。厳密に設計されたゲームほど、おバカさんを勝者に選んでしまうのです。

だから、ビジネスやリスクを伴う場面では、「最優秀者」には注意をしましょう。一番トップに来ている人は、リスク管理ができない、ラッキーなだけのおバカさんであることが多いからです。成功している会社の社長は本当に有能なのか、今一度自問してみましょう。

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