人事を数字でエンジニアリングする「ジンジニアリング」

戦略的人事は、数字をよりどころにして事実をベースに判断しなければなりません。企業が生き抜くための構造改革は、斬新な人事から生み出すしかないのです。「人事」と「エンジニアリング」をかけあわせた「ジンジニアリング」とは?


ヒトをエンジニアリングするという人事の新概念

私は、新しい人事がまずやるべきことは「人事(ジンジ)ニアリング」だと考えています。
ジンジニアリングとは、私の造語で、「人事」と「エンジニアリング」をかけあわせたもの。
戦略的人事は、数字をよりどころにして事実をベースに判断しなければならないというのが、その1つの理由です。

才能をマネジメントするSWP戦略

エンジンの語源は、ラテン語のインゲニウム (ingenium) という単語です。
この単語の意味は、「生まれながらの才能」や「賢さ」を意味したそうです。
さらに18世紀頃、「エネルギーを動力に変えるもの」という意味が付加されて、現在の意味に変化しました。つまり、エンジニアリングの本来の意味は、「生まれながらの才能をマネジメントする」という意味だと言え、SWP戦略の考え方にぴったりだったのです。

人事の仕事がテクノロジー化

この考え方は、最近の人事業界の動向とも合致しています。
それは、採用や人財マネジメントといった人事の基本的仕事に、人工知能やクラウドコンピューティングといったテクノロジーが導入され始めているからです。
会社で採用したい理想的人物と似たヒトを採用したり、SNSのデータを解析して、個人のビジネススキルを類推したりすることまで可能になっています。

利益を生むヒトと組織をデザインする人事

さらに先進的な企業では、社内のデータを活用し社員の満足度を計算して、必要なコミュニケーションをその人の上司に指示するテクノロジーまであります。
ただし、こうした技術を活用するためには、人事データが使いやすい形で整理整頓されていることが必要です。それと同様に、利益を生む人と組織をデザインする人事でも、エンジニアリングの考え方が必要なのです。

データの体系的整理は不可欠

たとえば、給料と評価のデータを組み合わせれば、評価の高い人にそれに見合った給料が支払われているかどうかチェックすることができます。
ところが、これらのデータが別々の場所に、別々のプログラムで格納されているケースがあります。
格納先のプログラムが違えばデータの形式も違ってしまいます。

重要なのは地味なデータの積み重ね

データはあるのに使えないということは、実はデータがなにもないのと同じです。
AIやクラウドといった華やかなテクノロジーに目が行きがちですが、戦略人事の検討で使うデータは、非常に地味なデータの積み重ねがほとんどなのです。

人財データを管理する専門家を配置する

テクノロジーを使うと、これまでできなかったような戦略人事ができるようになりますが、そのためにはデータを収集し、整理し、使える形に管理しておく専門家が必要です。
人事部門にもエンジニアのスキルと経験を持つ人財を配置しておくことで、迷いなく意思決定できるようになるのです。

【まとめ】

・テクノロジー化に伴い。人事データが使いやすい形で整理整頓され、才能をマネジメントするエンジニアリングの考え方が必要になる。
・人事部門にもエンジニアのスキルと経験を持つ人財を配置しておくことで、迷いなく意思決定できるようになる。
・「人事」と「エンジニアリング」をかけあわせた「人事(ジンジ)ニアリング」は、判断力を問われるこれからの人事の決め手になりそうですね。

★ 参考図書『稼ぐ人財のつくり方 生産性を2倍にする「攻めの人事」』山極 毅 著
日本経済新聞出版社

    
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