やる気のある会社をつくる人事戦略とは

モチベーションには外発的動機と内発的動機の2種があります。「画期的なアイディアが出にくい」「社員同士の協力が進みにくい」「目立たないが重要な役割を果たした人が評価されにくい」…これらの澱みは、外発的動機の副作用。では、内発的動機は人財にどう作用するのでしょうか。


評価や報酬制度がモチベーションや協業の機会を削ぐ

多くの欧米の会社では、仕事とその成果目標値を定義し、その数値に対する達成度で給料が決まります。
ですから動機付けは、ほとんど外発的です。
会社の業績を伸ばそうとして導入した評価や報酬制度が、人々のモチベーションや協業の機会を削ぐことになってしまうのです。
こうした問題を解決するためには、内発的動機付けが重要となります。

人の成長欲求をモチベーションにする戦略人事

戦略人事として行動するなら、どのような解決策があるでしょうか。
ヒントは、人間の持つ、成長欲求にあります。人間は自己実現に向かって絶えず成長したいと考えます。
そのため「あの人のようになりたい」というキャリアモデルを示すことができれば、内発的動機付けが可能となります。

内発的動機を高めるメンター制度

それを実現できるのが「メンター制度」です。
メンターは、直属の上司とは異なる先輩が担当します。
仕事上のテクニックを教えることはしませんが、職場での気の持ちようを教えたり、自分の経験からアドバイスをしたり、相談者(メンティー)の近未来の目標になれる人が任命されます。

昇格後の自信が持てない悩み

私はかつて、ある女性管理職候補のメンターを引き受けました。
彼女は非常に忙しい部署の課長代理職で、次の3月に昇格試験を受ける候補者でしたが、悩みを2つ持っていました。
1つは、時間の制約です。家庭の事情で朝は早く出社できないし、夜も早く帰らなければなりませんでした。
もう1つは、自分が管理職になった後、活躍する姿が思い描けなかったことです。
この2つの悩みは互いに関連していて、忙しい部署で、管理職としてやっていけるのか自信が持てなかったのです。

昇格という外発的動機より自己成長

管理職への昇進は、外発的動機付けになりますが、果たしてその仕事を引き受けて、自分の成長につながるのか、自己実現できるのか、そして、そもそも自分に務まるのか見通しがつかないので、内発的動機付けに結び付きにくかったのです。
私は、2つのことを繰り返し言い続けました。
① 部下に仕事を任せて先に帰るのは、管理職にとって重要なスキルであること。
② 時間の制約を逆手にとって、自部署の働き方を変革する先駆者になること。

メンターの助言で内発的動機が高まった

これが、彼女の腑に落ちるには、3か月くらいかかりました。
しかし、4か月目くらいから振る舞いが堂々としてきたことを覚えています。
そして最終的には、めでたく難関だった英語の試験もクリアして、無事、管理職に昇格しました。

目立たない地道な取り組みが功をなす人事戦略

戦略人事というと、お金の話、制度の話、トップタレントの話などに話題が集中する傾向があります。
しかし、メンター制度のような地道な取り組みも含めて、効果があるものは何でも試してやってみるのが、ホンモノの戦略人事だと思います。

【まとめ】

・会社の業績を伸ばそうとして導入した評価や報酬制度が、人々のモチベーションや協業の機会を削ぐことになってしまう。
・「あの人のようになりたい」というキャリアモデルを示すことができれば、内発的動機付けが可能になる。
・メンター制度のような地道な取り組みも含めて、効果があるものは何でも試してやってみるのが、「攻め」の人事戦略です。参考になりましたか?

★ 参考図書『稼ぐ人財のつくり方 生産性を2倍にする「攻めの人事」』山極 毅 著
日本経済新聞出版社

    
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