商習慣の変化は意外と年月がかかる

テクノロジーの凄まじい進化が広がる21世紀ですが、登場したばかりの商品やサービスが今すぐに世の中に溶け込めるほどスムーズには行かないのが現実でもあります。テクノロジーを使いこなす人間がそれらを受け入れ、広く浸透するには20〜30年はかかるものです。その理由は、人間が“思い込み”に支配されているからなのです。

ネット全盛でも店舗で買い物する人々

インターネットがパソコンの標準装備となったWindows95が登場したのは今から四半世紀前。買い物も音楽を聞くのも映画鑑賞するのも、ネットを使えば外へ出かけることなくできてしまうのがもはや当たり前になっています。それでも、未だに本は書店で、洋服はショップで買い、映画は劇場で見ることを選択する人が少なくありません。とはいえ、その数は確実に減っており、街から書店が次々に消えていっているなど、商習慣の変化が目に見える形で現れてきました。

新旧入れ替わりには並走期間が必要

オーディオ機器においてもそう。ラジカセがウォークマンになり、カセットテープはMDになり、iPodの出現でネットからダウンロードするのが当たり前となり、さらに今ではサブスクリプションサービスを使って好きな曲を聴き放題というスタイルへと変化を続けています。ただ、それらは新しいものが出現して瞬間に旧商品がすぐに消滅するわけではなく、新旧商品が一定期間並列して提供され、次第に新商品の領域が広がっていくのが普通です。つまり、平成と令和の間を線引するように「今日からはこれ!」とある日突然新しいものに置き換わるのではなく、あらゆるものには移行期間があるのです。そして、その時間は平均すると20〜30年かかると言えそうです。

旧商品がなくなるわけではないが…

そういえば先日、ポケットベルのサービスが完全に終了したことがニュースになっていましたが、スマホ全盛の今、ポケベルがなくなって困った!と動揺する人はさすがにほぼいないでしょう。もちろん、蒸気機関車が運行されると話題になったり、アナログのレコードが最近、中高年の間でブームになったりしている話もあるように、旧商品がもてはやされるケースもあります。しかし、それはあくまで趣味嗜好の範囲に過ぎないのです。

子供が大人になるまで

これから先も、新しいテクノロジーが生まれるにつれ、いま当たり前に使っているテクノロジーも気が付かないうちに歴史の彼方へと居場所を移すことになるでしょう。ただし、そうなるには30年、つまり今の子供たちが大人になるまでくらいの時間が必要なのかもしれません。

参考書籍:吉角裕一朗著「『まだない仕事』で稼ぐ方法」 (ワニ・プラス刊)

足立謙二 ライター。時事通信社記者を経てフリー。WEBニュース、雑誌などに執筆。得意ジャンルは昭和カルチャーから特撮、最新アニメまで幅広く偏り気味に。

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