時をかける技術も実現間近?

もうこの世にいない人にもう一度会えたらーー。一昔前ならかなわぬ願いと思われていたことが、技術の進化によって体験できるまでになっていることをご存知でしょうか。まさに夢の実現と思える一方で、「そんなことをして大丈夫なの?」と不安を感じる声も聞かれる“デジタルヒューマン技術”ですが、そこには多くの可能性が秘められています。

亡き肉親との再会も可能に

先にNHKで放送されたデジタルヒューマンプロジェクトを紹介する番組では、タレントの出川哲朗さんの8年前になくなった母親が、デジタル技術による表現力と綿密な取材によりモニター上に再現されていました。在りし日の母と実際に会話を交わした出川さんは号泣し、視聴者の感動を誘いました。こうした取り組みが一般的に具現化すれば、死に対する恐怖を和らげるなど、私たちに新たな価値観をもたらしてくれるかもしれません。

今の仕事は“選ばされている”

デジタルヒューマンのテクノロジーの用途は、故人の再現ばかりではありません。例えば、30分程度の会話をモニタリングすることで、その人の趣味嗜好が解析できるという技術の開発も進んでいるそうです。一方、人間は複雑な感情の中で自らが行動を選択しているように見えて、実際は個々の遺伝子プログラムによって“選ばされている”という仕組みもわかってきているとか。あなたが今就いている仕事も、自分の好みからではなく、遺伝子プログラムによって必然的にたどり着いた結果である可能性があるわけです。

タイムマシンはすぐそこに

これら人々のあらゆる日々の行動を記録、データ化しテクノロジーに活用すれば、死生観や時間の概念さえも変え時空を行き来するタイムマシンのような技術が実現することも決して夢ではないかもしれません。そういえば、直近のテレビ番組では、“昭和の歌姫”美空ひばりさんの歌声を同様の技術で再現し、秋元康さん作詞による新曲を歌い、往年のファンたちの涙を誘ったことも話題になりました。こうしたテクノロジーの進化は、人々の生活だけでなく、文化面にも新たな価値観をもたらしてくれるかもしれません。

参考書籍:吉角裕一朗著「『まだない仕事』で稼ぐ方法」 (ワニ・プラス刊)

足立謙二 ライター。時事通信社記者を経てフリー。WEBニュース、雑誌などに執筆。得意ジャンルは昭和カルチャーから特撮、最新アニメまで幅広く偏り気味に。

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