まるでリーガル・ハイ? 損保側弁護士のがむしゃらさ

自動車事故などで損保から依頼をうけた弁護士はどのような対応をするか知っていますか? まるでリーガル・ハイの古美門研介のようにきわどい作戦を使ってきます。


弁護士職務基本規程

弁護士には、「弁護士職務基本規程」というものがあります。その中で、弁護士は、依頼人の利益のために最善を尽くさなければいけないとされています。損保から受任した弁護士は、損保の担当者以上に強硬に支払い拒絶の態度に出てきます。

損保側の弁護士は、ある事案を単発で、全く面識のない損保から受任するということはありません。ひごろから特定の損保と取引関係にあり、毎月継続的に多数の案件を受任しています。

そういう弁護士にとっては、損保は仕事をくれるお客様であり、「神様」なのです。神様の意向には逆らえない。だから損保側弁護士は、「がんばらなくちゃ」という思いから、むきになってかたくなに支払いを拒むのです。

若手とベテラン

損保側の弁護士にも、若手とベテランがいます。若手になればなるほど、損保の言いなりに、被害者に対してはけんもほろろの態度をとってきます。それは、本人が未熟であるため、損保に対する説得力を持ち合わせていないからです。

ベテランの弁護士になりますと、経験上落とし所というものが分かっています。どこを認め、どこを争うか、ツボを心得ています。損保としても、長年お世話になっているあの先生の指示なら、払わざるをえないという思いにかられます。

一口に損保側の弁護士といっても、若手かベテランかによって、概ねこのような違いがあることを被害者は知っておかれた方がよいでしょう。ものごとには、原則があれば例外もあります。ベテランの弁護士の中にも、とりつく島もないような乱暴な口調で、被害者を非難する者がいます。これはひとえに、その弁護士の性格が悪いといえます。

損保側弁護士のとる究極の一手

損保に弁護士がつき、弁護士が盾となって支払いを拒んでも、被害者によっては、その弁護士や損保に執拗な抗議をくり返すことがあります。被害者にとっては、治療費や休業損害を止められますと、治療も受けられず生活もできないといった事態に追い込まれます。

「私に死ねということですか」

そういう被害者の叫びを何度耳にしたか、分かりません。抗議したくなるのは当然でしょう。その抗議を「うるさい!」と感じたとき、損保側弁護士は強硬な手段に訴えます。

被害者を「被告」として、裁判所に債務不存在確認請求訴訟を提起するのです。債務不存在確認請求訴訟というのは、「加害者が被害者に対して支払う損害賠償債務(つまり、賠償金)は金●●●万円を超えては存在しないことを確認してください」という裁判です。

交通事故の裁判は、被害者が加害者を相手に起こすものではないか、と思われるでしょう。通常はそうです。しかし、被害者の要求額が法外で、とてもそんな巨額なお金を払う義務はないと損保側で考えた場合、自分たちの方から被害者を相手に訴えを起こすのです。

この訴訟は、被害者がヤクザや当たり屋のようなアウトローの人間のときに、相手を黙らせる手段として活用されてきました。しかし、善良な被害者で要求額が法外でないケースでも、被害者からの抗議封じのために利用されます。

訴訟を起こしてしまいますと、損保側弁護士は被害者から電話などが入っても、遮断することができます。

「言いたいことは、すべて訴訟の場で言ってもらいたい」

と。損保の担当者は弁護士に一任して責任逃れをはかり、弁護士は裁判所に舞台を移して自分を楽にするという寸法です。このように開き直られますと、被害者としては、相手に苦情を連発することはできなくなります。弁護士をたてざるをえません。それを狙っているのです。

被害者の苦情を封じようとする作戦

債務不存在確認請求訴訟は、賠償金額を裁判所に決めてもらう訴訟です。このような裁判が加害者側から起こされますと、通常は裁判官が被害者に対し、次のように促します。

「あなたが請求したい賠償金額を「反訴」という形で出してください」

反訴とは、原告から提起された訴訟(本訴)に対し、反撃となる訴訟のことです。死亡事故でなく傷害事故の場合には、被害者の後遺障害等級が自賠責で決まり、すべての損害額を算定できる段階にきていないと、債務不存在確認訴訟はなじみません。被害者が治療を継続中で、治療費や休業損害、慰謝料などがふえつづける状況下では、金額が流動的で確定できないからです。

ところが、損保側弁護士(特に若手の弁護士)の中には、被害者が治療の真最中だというのに、強引に債務不存在確認請求訴訟を申し立てる者がいます。損害額をまだ確定できる段階にきていないことが分かっていながら、アクションを起こすのです。

それは、被害者を訴訟の場にひっぱり出すことによって、うるさい被害者を黙らせようという、ただそれだけの企みからです。彼らは、法廷での早期解決をめざしているわけではありません。やかましい相手方(被害者)の法廷外での口を封じ、静かにほかの仕事に専念したい一心なのです。

弁護士の仕事内容は、実際リーガル・ハイのような場面もあるのです。恐るべし、弁護士…

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参考本

「自動車保険金は出ないのがフツー(加茂隆康)」

    
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