想定外の地震に備える「地震保険」の基本

「来るぞ」と言われ続けている地震が発生しない一方で、東日本大震災のように想定外の広範囲で大きな被害が出たりするなど、地震はほとんど予測不可能な災害です。想定外の地震に備えるために知っておきたい「地震保険」の基本を紹介します。


地震保険の始まり

地震の被害をカバーする保険として「地震保険」があります。地震保険がはじまったのは、今から45年ほど前の1966年。損保会社だけでは保険商品として世に出すのが難しかったところを、1964年の新潟地震を契機として、政府がバックアップしてようやく保険の形にできました。

生活の立て直しが地震保険の目的

ただし、家の建て直しまでを目指したものではなく、あくまで生活の立て直しが目的の保険なので、契約時と受け取り時に制限が設けられています。

契約時は、火災保険に上乗せする形で、火災保険の保険金額の30~50%の範囲内での契約となります(建物5000万円、家財1000万円が限度)。最大で50%までしかつけられない割に、火災保険に地震保険を上乗せすると、保険料がそれまでのおよそ倍額になるほどに地震保険料は高いです。

ただ、保険料の全額が地震保険料控除の対象になったり、耐震性能の高い住まいなら保険料割引が大きいなど、国をあげて普及に努めています。「うちは免震マンションだから大丈夫」という場合も、高層階ほどよく揺れますので、家財の地震保険は視野に入ります。

なお、1回の地震などによって政府と保険会社が支払う保険金には限度額が定められていて、現在は5兆5000億円です。被害の総額がこの額を超えると、私たちが受け取れる保険金の額は、契約した保険金額よりも少なくなる仕組みとなっています。

火災保険では地震は保証の対象外

建物の被害をカバーする保険は、火災保険が代表的です。しかし、火災保険は火災や風水害による損害を補償するものなので、「地震・噴火・津波」による損害は補償の対象外です。

つまり、地震などが原因で起きた火災で受けた損害も、津波で流されたり水没したり土砂まみれになった家も、火災保険からは損害保険金を受け取ることはできないのです。

ただし、火災保険から、「地震火災費用保険金」という見舞金の位置づけのお金(費用保険金)が受け取れることがあります。その要件は、地震などによる火災で建物が半焼以上、または家財が全焼した場合で、保険金額の5%という保険内容です。2000万円の火災保険に入っていても地震火災費用保険金は100万円程度です。

不安な人は地震保険を火災保険に上乗せしよう

地震などの被害時にまとまった保険金を受け取りたいなら、地震保険を火災保険に上乗せしましょう。今、入っている火災保険に途中で上乗せすることも可能です。地震保険は、火災保険と同様に、建物と家財、それぞれに分かれています。

例えば、地震などによる家屋やマンションの被害が心配なら、建物の火災保険に建物の地震保険をプラスする形で契約します。耐震マンションで、地震による家財の損害が心配であれば、家財の火災保険に加えて、家財の地震保険も契約する形をとります。

保険の支払内容

保険金の支払いというと、建物を見てどれくらい損害が出ているのか細かく判断する印象がありますね。けれども、地震や噴火、津波の被害は、非常に広範囲に及ぶのが特徴です。

1件1件それをやっていると大変なので、少しでも早く保険金を支払うために、「全損」か「半損」か「一部損」なのか、損害保険統一の3段階の基準で判定して、該当の割合で保険金を払う仕組みになっています。

支払われる保険金は全損なら契約金額の100%、半損で50%、一部損なら5%。新築や購入にかかった金額から使用による消耗分を差し引いた「時価」が限度になっています。

地震保険以外のカバー手段

地震保険は、政府のバックアップがあったり、損保会社の破綻時にも損害保険契約者保護機構から保険金の100%が保証されたり、地震保険料控除を受けることができたりと、公的な性格の強い保険です。ただ、そうした恩恵が一部受けられないながらも、地震の損害のカバーを得られる保険がほかにも存在します。

農林水産省の管轄のJA共済が扱う「建物更生共済」は、長期の積立火災保険と地震保険が組み合わさったような共済です。阪神・淡路大震災のときは、多くの人が神戸で地震が起こるとは思いもよらず、火災保険にだけ入っていて地震保険はつけていませんでした。そのため、地震保険からの保険金を受け取れた人はごくわずかでした。

しかし、建物更生共済に入っていた人は、しっかり地震共済金を受け取ることができました。  また、全労済が扱う「自然災害保障付火災共済」には、地震による損害の保障もついています。いずれも地震保険と同様に、掛け金を地震保険料控除の対象にできます。

全国生協連の「新型火災共済」では、地震による損害時に保険金額の5%を受け取ることができます。それでも不安な人は、少額短期保険業者(ミニ保険会社)の日本震災パートナーズの扱う「地震補償保険」を上乗せする方法もあります。

地震保険は節税効果が高い

損害保険分野の保険料控除といえば「地震保険料控除」です。かつては損害保険料控除があったのですが、2007年から制度が変わって、以後、新しく契約した保険で保険料控除が受けられるのは地震保険だけになりました。

それまでの損害保険料控除で受けられる所得控除の額は、最大でも15000円(住民税では10000円)だったのに対し、地震保険料控除では最大50000円(住民税では25000円)です。地震や津波が不安で地震保険に入った人は、生命保険料控除レベルの節税効果なので、年末調整や確定申告での申告を忘れないようにしてください。

制度変更による注意

経過措置として特別に認められている「長期の損害保険料控除」は知らないと損をします。単純に切りかえてしまうと、以前に15000円の損害保険料控除を受けていた人が地震保険に入らないケースでは、それまで受けられていた所得控除の恩恵がなくなってしまいます。

そのため、2006年まで損害保険料控除を受けられていた一定の契約(保険期間10年以上で満期金がある積立型保険)については、経過措置として、これまでどおり最大15000円の所得控除が受けられることになっています。

この経過措置は、契約内容を変更しない限りは保険期間の満了まで続きます。このように経過措置の長期の損害保険料控除の契約と地震保険の両方に入っているケースでは、長期の損害保険料控除で最大15000円を使った残りについて、最大50000円まで地震保険料控除として使えます。つまり、内訳はどうあれ、上限は50000円で変わりません。

JA共済の「建物更生共済」や全労済の「自然災害保障付火災共済」などでも同様に地震保険料控除を受けることができます。ただし、少額短期保険(ミニ保険)の保険は、対象外です。

地震は想定外の災害です。もしものときのために地震保険を検討してみてはいかがでしょうか? 節税効果も来たいできます。

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「地震保険は必要?地震保険の対象、保険料、加入率」

参考本

「「保険に入ろうかな」と思ったときにまず読む本(竹下さくら)」

    
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