任意後見制度の種類、手続き、費用

任意後見制度は自分が元気なうちに、正常な判断ができなくなる場合に備えて、あらかじめ任意後見人を決めておく制度です。判断能力が低下してしまったとき、スムーズに成年後見制度に移行することが可能となります。任意後見制度の種類、手続きなどを紹介します。


任意後見制度とは

任意後見制度は、本人が正常な判断ができるうちに、あらかじめ自分で選んだ任意後見人と、財産管理や生活管理などの事務について代理権を与える任意後見契約を、公正証書で事前に契約します、

任意後見制度を契約することで、本人の判断能力が低下した場合に、任意後見人が、任意後見契約で決めた事務を、家庭裁判所が選ぶ「任意後見監督人」の監督のもとで本人の代わりに契約などをすることができるようになります。任意後見制度を利用した本人の意思にしたがった適切な保護・支援をすることが可能となる制度です。

3種類の任意後見制度

任意後見契約には、3種類あります。

1. 移行型
2. 将来型
3. 即効型

1. 即効型

即効型は、任意後見契約と同時に申し立てを行います。即効型はトラブルが多いため、おすすめしません。

2. 移行型

「移行型」は、本人の判断能力が十分なうちは、自分で財産管理を行ない、判断能力が不十分になったら、任意後見契約に移行します。スムーズに成年後見制度に移行できるため、一番安全な任意後見制度です。

3. 将来型

「将来型」は、任意後見契約だけを結びます。判断能力が不十分になったら、家庭裁判所に申し立てを行ない、任意後見監督人を選任してもらいます。ただ、任意後見監督人が決まるまでの数ヶ月間は、任意後見制度が働かないため、その間の金銭トラブルに巻き込まれる可能性が出てきます。「移行型」を検討するべきでしょう。

任意後見監督人とは

任意後見監督人は、任意後見人が任意後見契約の内容どおりに仕事をしているかを、監督します。任意後見人から財産目録などを提出させ適切に財産管理が行われているかチェックします。

任意後見監督人は、本人の親族よりも、第三者の弁護士、司法書士、社会福祉士、税理士などの専門職が選ばれることが多いです。適正な監督をするため第三者の視点が必要となるからです。

任意後見監督人の報酬

そのかわり、任意後見監督人から報酬の請求があった場合、家庭裁判所の判断により、本人の財産から任意後見監督に対して報酬を支払う必要があります。相場の目安は、管理財産額が5,000万円以下の場合には月額10,000〜20,000万円、管理財産額が5,000万円を超える場合には月額25,000~30,000万円です。

遺産相続でももめるように、実際に後見人が管理すべきお金を自分のために使うケースが発生しています。司法書士など専門家に頼んだ場合でもこのような悲しいケースが発生しています。家庭裁判所は、本人や親族、任意後見監督人の請求により、任意後見人を解任できます。不正を起こさないための役割を任意後見監督人が果たすため、報酬が発生します。

任意後見制度の手続き

一般的な流れとしては、

1. 任意後見契約
任意後見制度を利用する場合、公証役場でまずは任意後見契約を行います。契約内容は登記されます。
2. 家庭裁判所へ任意後見監督人を選任する申し立て
本人の判断能力が不十分になった場合に、裁判所へ任意後見監督人を選任する申し立てを行います。
3. 調査
裁判官の職員が事情を尋ねます。
4. 審問
必要に応じ裁判官が直接事情を尋ねます。
5. 鑑定
本人の判断能力について鑑定を行うことがあります。10万円程度かかります。
6. 審判
後見等の開始・成年後見人等の選任が行われます。

任意後見契約公正証書の作成費用

公正証書作成の基本手数料:11,000円
登記嘱託手数料:1,400円
登記所に納付する印紙代 :2,600円
その他に、交付される正本などの証書代、登記嘱託書郵送用の切手代などもかかります。

任意後見人の報酬

任意後見人には報酬を支払います。リーガルサポートなどの専門家へ依頼する場合、月額3〜5万円ほどかかります。毎月の支払のため、かなりの金額となります。

親族などに任意後見人をお願いする場合は、報酬無しの場合も多いです。ただし、後見人の仕事は予想以上に多いので、報酬を支払ったほうがよいでしょう。裁判所が定めている報酬の目安も紹介します。

成年後見人が、通常の後見事務を行った場合の報酬は、月額2万円です。ただし,管理財産額が高額な場合には、財産管理事務が複雑になる場合が多いので、管理財産額が1,000万〜5,000万円以下の場合には基本報酬額を月額3〜4万円、管理財産額が5,000万円を超える場合には基本報酬額を月額5〜6万円としています。

任意後見制度から法定後見制度への移行も可能

本人の判断能力が不十分な状況になった場合、任意後見契約の内容だけでは本人が保護できない場合に法定後見制度を利用することもできます。ただし、本人の利益のために特に必要があると認められるときに限ります。

任意後見制度を事前に利用すると、自分の判断能力が不十分になった場合に備えることができます。早めに動くと家族に迷惑をかける可能性が減るので、任意後見制度の活用を検討しましょう。

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