おひとりさまの老後の暮らしにいくらかかるか? 月5万円で豊かな暮らしができる?

おひとりさまの老後の暮らしにいくらかかるでしょうか? 有料老人ホームからワンルーム生活など暮らし方によってかかるお金は変わります。とはいえ、生活の仕方によっては月5万円から生活することもできます。


月5万円でも暮らせる

生活費は、これまでの暮らしぶりが影響するため、ピンキリです。ただし、社会保険料や光熱・通信費は必ずかかるため現金のない暮らしは考えられません。この費用を入れて、寒冷地で月5万円で暮らしているひともいます。

省エネ・省コストのパッシブソーラーハウスで、寝室付きのワンルーム住宅。ひとり暮らしにはもっとも快適な住環境です。家庭菜園があるから新鮮な野菜類にはことかかず、貯蔵食品も自家製で、豊かな暮らしぶりです。生活の豊かさは、かけたカネでははかれません。

ケア付き住宅でいくらあれば暮らせるか

多くのケア付き住宅は、食事がついて1ヶ月12万円から15万円程度、つまり高齢シングルの年金の範囲で暮らせるように設定してあります。ぜいたくしたいと思わなければこれでやっていけます。

有料老人ホームの草分け、「サンビレッジ新生苑」の石原美智子さんは、その格差をわりきっています。1993年にホテルの部屋と見まがうような個室を用意して、1ヶ月月入居費36万円で入居者を募集したとき、「こんな料金でいったいだれが?」という周囲の心配をよそに、30室のホームはすぐに埋まりました。実際、病院の個室に1ヶ月入ってもこのくらいかかるため、それにくらべれば安いもの、と言います。職員にはこう言っています。

「ファーストクラスに乗ってもエコノミークラスに乗っても、飛行機が目的地に着くのは同じ。部屋が豪華なだけで、生命にかかわるケアには差をつけない」

石原さんは食事についても独自の考えをもっています。家事援助で要介護者のお宅へヘルパーさんが出向けば、1食つくるのに1時間の派遣料がかかります。そんなムダづかいをするより、食事はセントラルキッチン方式(一カ所で集中的に調理・供給するシステム)で省コスト化をはかり、配食サービスをしたほうがよいと。

おいしいものが食べたいひとは松・竹・梅でランクを選び、選択肢を与えてコストは自己負担するのが資本主義の論理、と市場主義に徹した石原介護哲学は、介護保険のもとでも傾聴に値するのです。

食事付きなら上げ膳、据え膳

食事付きの高齢者住宅を歓迎するのは、長いあいだ主婦業をしてきたひとたちです。おつとめからようやく解放された彼女たちにとって、上げ膳、据え膳の暮らしは王侯貴族のようなものでしょう。自分の口に合うもの、おいしいものを食べたければ、たまに自分でつくったり外食すればよいのです。クッキングも、日常の義務から非日常のレジャーになれば楽しめます。

食事付きの高齢者住宅には、3食まるまる出るところもあれば、朝食は各自の好みで昼と夜の2食が出るところ、昼は希望者のみで、夕食は週5日出るが週末はなしとか、夕食も週に2日だけなどさまざまです。コンビニで弁当を買ってきて中食もできるため、食事の不満を解消する選択肢はいろいろあります。

基本的な住と食を確保したうえで、あとは、趣味や社交など、楽しみのための余裕があれば暮らしていけます。おひとりさまのつましい暮らしには、たいしたカネはかからないのです。

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