高額療養費の対象となる自己負担額の条件と世帯合算の注意点

高額療養費制度は、医療費に上限を作る素晴らしい制度ですが、高額療養費の対象となる自己負担額にはわかりにくい条件があります。


高額療養費の自己負担額の対象条件

高額療養費は、何でも合算できるわけではありません。同月内に同一医療機関が原則となっています。そのため、前月の医療費と今月の医療を合計することはできません。また、A病院とB病院の医療費も合算できません。そのため、医療費が高額療養費の上限金額を超えていても、高額療養費が適用されないケースがあります。

高額療養費の注意その1「月単位で計算」

高額療養費は月単位で計算します。2月なら2月だけ、10月なら10月だけで医療費の合算をします。月をまたいで合算することはできません。

高額療養費の注意その2「医療機関ごとに計算」

医療機関ごとに計算をするのが原則のため、A病院からB病院に転院する場合は合算できません。

高額療養費の注意その3「同一医療機関でも診療科ごとに計算」

ここが一番ややこしいところです。総合病院では、歯科と医科では医療費は合算することはできません。

高額療養費の注意その4「外来と入院ごとに計算」

ここもややこしいです。同一医療機関かつ同一診療科であっても、外来と入院は別々に計算します。つまり、医科入院と医科外来は合算できないのです。

高額療養費の注意その5「70歳以上はなんでもOK」

70歳以上は、自己負担額をすべて合算できます。

高額療養費の対象外となる費用

差額ベッド代、食事療養費、居住費、光熱費、自由診療費などは高額療養費の対象にはなりません。高額療養費に該当するかどうかを簡単にチェックするポイントは、領収書にある一部負担額が保険内か保険外かを見て判断できます。

世帯合算制度

家族の医療費も条件を満たせば、合算して計算することができます。70歳未満の場合、自己負担額が21,000円以上のものは合算できます。自己負担額の対象条件は、先ほどと同じです。ただし、家族で同じ健康保険に入っていることが条件です。

世帯合算の例

世帯合算は具体例をみたほうが理解が簡単です。ある一般的な収入の家族がいます。夫であるAさん、妻であるB子さん、息子のC君がいます。同じ月に、Aさんは手術で5万円、B子さんも手術で5万円、C君は入院で5万円かかりました(それぞれの金額は自己負担額)。

1人ずつで計算すると高額療養費は適用されませんよね。ここで役に立つのが世帯合算です。家族全体で自己負担額は15万円(全員3割負担)のため、50万円の医療費です。家族の自己負担額も21,000円を超えているので、世帯合算の対象となります。

Aさん家族の自己負担限度額は、80,100円+(500,000円-267,000円)×1%=82,430円

となり、67,570円の医療費が戻ってきます。

一方、世帯合算ができない具体例としては、Aさんは手術で5万円、B子さんも通院で2万円、C君は入院で2万円かかりました(それぞれの金額は自己負担額)。この場合、21,000円を超えているのはAさんだけなので、世帯合算ができず、家族の自己負担額は5万円だけなので、高額療養費は適用されません。とにかく「21,000円」の金額を基準に考えましょう。

70歳以上の人がいるときの注意点

70歳以上の人がいる場合は、高額療養費の自己負担額が下がっています。また、70歳以上は21,000円を超えていなくても自己負担額はすべて合算できます。さらに、外来だけの場合の上限金額も異なります。そのため、70歳以上と70未満に分けて計算をする必要があります。また、75歳以上の人は、後期高齢者医療制度の対象となるため、世帯合算はできません(75歳以上同士はできます)

70歳以上の人と70歳未満の世帯合算例

では、70歳以上の一般所得者のAさんと70歳未満の一般所得者のBさんでみていきましょう。

70歳以上の一般所得者の高額療養費の自己負担限度額は44,400円で、外来の上限は12,000円

70歳未満の一般所得者の高額療養費の自己負担限度額は自己負担限度額:80,100円+(総医療費-267,000円)×1%

まず、70歳以上から先に考えていきます。Aさんは、外来治療で20,000円と入院で50,000円自己負担額が発生しました。Bさんは、入院で60,000円の自己負担額が発生しました。

まず、70歳以上の外来上限は12,000円のため、8,000円が戻ってきます。

「外来20,000円ー外来上限12,000円=8,000円」

次に、入院費用を考えると、50,000円です。先ほどの外来上限が12,000円のため自己負担額は62,000円です。62,000円から、70歳以上の高額療養費の自己負担額の44,400円をひくと、17,600円が戻ってきます。

「入院50,000円+外来上限12,000円-高額療養費上限44,000円=17,600円」

次に、70歳未満で考えていきます。Bさんは入院による自己負担額が60,000円だけです。Bさん世帯の自己負担限度額は、「80,100円+(総医療費-267,000円)×1%」で計算できます。Aさんは保険料負担が1割で、自己負担額が70,000円のため、総医療費は、700,000円です。Bさんは保険料が3割負担で、自己負担額が60,000円のため、総医療費は200,000円となります

「80,100円+(900,000円×1%)=89,100円」

89,100円がBさん世帯の高額療養費の自己負担限度額となります。そこで、70歳以上のAさんの自己負担額とBさんの自己負担額を合算して、Bさん世帯の自己負担上限額89,100をひくと戻ってくるお金が計算できます。

「44,000円+60,000円-89,100円=14,900円」

世帯計算では、14,900円が戻ってきます。そのため、Aさんの外来上限から戻ってくる8,000円とAさんの上限限度額から戻ってくる17,600円と14,900円を足した40,500円が全体で戻ってきます。

「8,000円+17,600円+14,900円=40,500円」

今回は、条件がシンプルですが、実際にはもっと複雑な計算になります。70歳未満と70歳以上の世帯合算には注意が必要です。

高額療養費の申請をしよう!

高額療養費制度は、原則として申請が必要です。また、加入の健康保組合によっては、高額療養費に該当していても必ず通知が来るわけではありません。高額の医療費がかかった場合は、必ず自分で申請の手続きをとるようにしましょう。

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