「ニセ学生マニュアル」の世界

その大学の学生でもないのに、大学の授業にもぐりこんで勉強をする者たちのことをニセ学生、あるいはモグリと呼びます。人気のある研究者や教授にはそうしたモグリの学生が多くいます。


網羅的な本

1989年と90年代に、浅羽通明によって「偽学生マニュアル」なる本が発売され話題となりました。これは、人文社会科学から自然科学まで、著名な研究者の所属大学、授業、教室名、授業時間がすべて記載されたものです。このマニュアルさえあれば、教室変更などがないかぎりは、目当ての授業を目にすることができます。この本に取り上げられた人物のラインナップを眺めると、現在も活躍している人たちの名前が多くあります。それだけ、浅羽通明の先見の明があったということでしょう。

実際に使ったものはいるか?

ただし、この本を実際に使って各大学の授業にもぐりこんでいた人間がどれだけいたかは疑問でしょう。なにしろ、当時は大学の郊外移転がブームとなっていました。大学は首都圏であったとしても八王子や埼玉、神奈川など都心から離れた場所に分散していました。授業にもぐることは無料とはいえ、往復の交通費をかけて、各大学へ行っていた人間はいたのでしょうか。「ニセ学生マニュアル」は、当時の思想、言論界のマッピング本というべきものであり、ライトなイメージをまとうためにハウツー本の体裁を取っていたと見ることができるでしょう。

「インターンも学歴差別? 難関大学生が1年生からインターンシップを始める理由」の詳細を調べる

    
コメント