これからのビジネスで活躍する人材はBQが高い! BQを高める考え方

勉強して一流大学に入り、学歴を引っ提げて大手企業に就職。組織の中で揉まれて人間を磨き、上司に気に入られて出世していくのが昔のビジネスのセオリーでした。しかし、アタマの良さや人柄が成功の決定打になったのは、市場が成長期にあり誰でも勝ち組になれた時代の話です。

市場の縮小期に入った現在、ビジネスは格闘技になりました。真剣勝負の世界で評価されるのは、結果を出した人だけです。アタマが良くていろいろなことを知っていたり、性格が良くてみんなに好かれる人であっても、結果を出さなければいけません。もはや従来の成功法則は通用しないのです。これからの時代は、「BQ=ビジネス感度」の高い人材がビジネスで活躍する時代になったのです。


BQとは

BQ(Business Quotient)は、ビジネス感度を意味します。BQは知性を示すIQ(Intelligence Quotient)、理性や人間性を示すEQ(Emotional Intelligence Quotient)、そして感性を示すSQ(Sensibility Intelligence Quotient)を掛け合わせたオリジナル指標です。BQの中でも重要なのは、SQ(感性)です。BQはビジネスの能力を示す指標であり、次の式で示すことができます。

「BQ=IQ(知性)×EQ(理性・人間性)×SQ(感性)」

知性や理性、人間性、そして感性。これまで三つの中で重視されてきたのは、知性と理性、人間性でした。工業社会や知識・情報社会では、高品質で便利な製品やサービスが求められました。それらを生み出すには、計算機のようなアタマの良さや、チームで協力して働くための人間性が必要だったからです。

20世紀型の「優秀な人材モデル」では、知的感性の時代を生き抜いていくことは困難です。これからのビジネスで成功するのは、感性を中心とした「BQ」の高い人です。BQの高い人は、知識や経験をベースにして、鋭い感性によって「知恵」を生み出します。もちろん知恵を生み出して終わりではありません。その知恵を新しい「価値」、さらには「富」へと変えていきます。

さらにBQの高い人は、強い好奇心や遊び心を持っています。同時に困難に負けないタフさや粘り強さを持ち、それが強い実行力につながっています。また、BQの高い人はコミュニケーション能力やリーダーシップに優れているため、組織の中で大いに力を発揮します。

BQの高い人は他の会社に転職しても同様に実力を発揮できるし、起業しても優れたリーダーになれます。BQとはどこにいっても通用する普遍的なビジネス力なのです。従来の優秀な人材モデルは、もう役に立ちません。21世紀に勝ち残るためには、BQを磨くしかないのです。

堤清二から学んだBQの大切さ

BQの中でも、重視するべきは感性です。BQを提唱する林野宏さんが、西武百貨店時代に、社長を務めていた堤清二さんの影響です。堤さんは、かつてのセゾングループ(西武流通グループから改称)を率いた敏腕経営者です。西武百貨店は後発の小さな百貨店にすぎませんでしたが、堤さんの指揮のもと、池袋を日本の情報発信基地にしたり、東急の独壇場だった渋谷に出店したり、ファッションに特化したパルコの展開を始めるなど、飛ぶ鳥を落とす勢いで急成長しました。

J-WAVEの生みの親

堤さんは、ネーミングの天才でした。あるとき、それまで厳しかったFM局の認可が緩和され、各都道府県に一社、開局の認可が下りることになりました。各地の地元企業に働きかけると同時に、東京で申請するFM局の企画をまとめることになりました。

林野さんが打ち出したコンセプトは、一日中、音楽だけを流すラジオ局でした。それまでのラジオは歌謡曲とパーソナリティのおしゃべりが中心で、BGMとして少しうるさかったため、無駄なトークを排して、ポピュラーミュージック中心の放送局を目指すことにしました。

申請のとき、林野さんが考えた放送局名は「FM24」でした。24時間、ひたすら音楽を流し続けるというコンセプトがよくわかると考えたからです。ところが堤さんは、企画書を見て「おしゃれじゃない」と一刀両断。代わりに「J-WAVE」と名づけました。理屈から入る普通の経営者に、こうしたネーミングはできません。

ちなみにいま日本の歌謡曲を示す「J-POP」も、ネーミングの由来は「J-WAVE」です。のちにサッカーのプロリーグ「Jリーグ」など、頭に「J」をつける名称が急増しましたが、それらももとをたどれば堤さんの右脳にいきつくわけです。

「J-WAVE」は、事業としても成功を収めました。当時、飲食店やスポーツクラブはBGMに有線放送を流しているところが多かったのですが、「J-WAVE」が開局して、ほとんどがこちらに切り替わりました。「番組の間に下品なコマーシャルは流さない」と強気な方針を打ち出したので、スポンサーがつくかどうか不安だったのですが、蓋を開けてみればスポンサーが列をつくって待っていました。初年度から黒字を継続しています。

最初から勝算があったわけではありません。単純に林野さん自身が聴きたいと思う放送局を企画にしただけです。ヘタにロジカルに考えるより、自分の感性に従って企画を立てたほうがうまくいくはずだという確信は持っていました。その確信に至ったのは、堤さんが、つねづね「仕事も感性が大事。感性を磨きなさい」と発信していたからです。

堤さんが名づけたブランドやサービスで、無印良品、パルコなどがあります。どれも上品で美しく、それでいて聞いた者の印象に残る親しみやすさや、分かりやすさがあります。まさしく感性の勝利です。ちなみに現在、都心型ショッピングセンターの多くは、三文字のカタカナで名前をつけています。これらは基本的に「パルコ」の模倣なのです。堤さんがいなければ、日本の都市型ショッピングセンターは、もっと違った名前になっていたでしょう。

優れた企画に共通する「BQ」

せっかくいいアイデアを思いついたのに、上司に却下されて実現しなかった経験はないでしょうか。企画が通らない原因は、内容そのものに難があるか、プレゼンが未熟で魅力を伝えることができていないかのどちらかです。自分のBQが足りないからアイデアが認めてもらえないのです。

優れた企画のポイントは、企画の中身やプレゼンにサプライズがあるかです。企画のすべてが斬新である必要はありません。ただ、どこか一カ所でも「従来とは、ここが違う」というポイントがあるかどうかです。

また、相手が知らない知識も、サプライズになります。それ以外にも、企画の中身だけでなく、企画書の見た目にもこだわることです。内容が斬新であることが何より重要ですが、そうでなくても読み手を驚かせる知識を入れ込んだり、見た目でインパクトを演出するなどの工夫があると、企画はグッと通りやすくなります。

どんなに斬新なアイデアも、それを思いついただけで満足してはいけません。どんなアイデアも、まわりに認めてもらってゴーサインが出てはじめて価値を持ちます。BQの高い人はそのことをよく知っているので、読み手の心に響くサプライズにこだわります。どうすれば上司を驚かせることができるのか。企画を提案するときには、それを突き詰めたうえでプレゼンすべきなのです。

だらだら残業は「BQ」の敵

では、自分のアイデアを通すための努力を惜しまないといっても、無闇やたらに時間をかけるのは考えものです。企画書にかぎらずあらゆるアウトプットは、それまでにどれだけインプットしたかによって質が決まります。インプットした材料を研ぎ澄まされた感性によってスパークさせるといいアイデアが生まれます。

時間はいくらでもあると思うと、ついだらけてしまうのが人間の心理です。仕事を効率的にこなすには、効率的にならざるをえない状況に自らを追い込むことが大切です。タイムリミットを設けることで仕事の効率化を図るとともに、インプットの機会を確保します。ノー残業で帰ることには、こうした効果があります。だらだらと残業せずに帰る習慣は、BQの高い人に共通する傾向です。

時間を決めて仕事を切り上げることにしているから、仕事の処理能力が高まったり、インプットの機会が確保されてBQが磨かれていくのです。さっそく明日から終業後に楽しい予定を入れてみましょう。それだけでBQが高まること間違いなしです。

これからは「BQ」が高い人が勝つ時代です。「BQ」について詳しく知りたい人は「BQ」を読むことをおすすめします。

参考本

「BQ〜次代を生き抜く新しい能力〜(林野宏)」

    
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