ライフネット生命の作り方。起業してから事業を作るヒント

起業を考えている人はたくさんいると思います。でも、どうやって事業を作っていくのか具体的な流れがわからない人は多いのではないでしょうか? 今回は、100億円の出資を受けたライフネット生命の作り方を紹介します。


生命保険会社の作り方

突然だが、あなたが100億円の出資を受けて、新しい生命保険会社を立ち上げることになったとしよう。何からはじめますか?

1. 商品を作る

まずは、売るための商品を作らなければならない。保険商品はどのようにして作るのだろうか? 保険商品には姿も形もありません。あるのは、「保険事故にあったら、ある金額を支払う」という契約者との約束だけです。その契約の内容、すなわち「約款」が保険の商品そのものです。したがって、約款を作る必要があります。

2. 競合調査

ひな形を入手するために、他社の営業所に行って、お客のふりをして約款が欲しいと申し出てみます。すると、「約款は契約者の方にしかお渡ししておりません」と断られた。「加入するまではお見せできません」とのことだが、商品そのものである約款を見ないで、どうやって加入を決めればいいのでしょうか?

保険会社の約款は、分厚くてきれいなデザインで印刷されているから、一部あたりのコストが結構かかっています。だから、正式に契約すると決まった人にしか渡さないそうです。

しようがないので、保険に入っている友人に頼んで、何とか保険約款のひな形は手に入れることができました。厚くて読むのが大変でしたが、必要な部分だけを抜き出して、似たような内容の約款を作ることにしました。商品パンフレットも申込用紙も、センスのいいデザインのものを作って、印刷しました。これで、商品ができたことになります。

3. 商品の値段設定

通常の商品やサービスであれば、原材料や設備の費用、人件費を計算して、そこに販売費用と一定の利益を上乗せして、価格設定をします。約款を作るための原価は、自分の人件費と、パソコンと印刷費用くらいです。これだと、ずいぶん安くなってしまいます。

調べてみたら、保険の「原価」は人件費や印刷費用ではないようです。保険事故が発生したときに保険金を支払うために、保険会社は十分な保険料を集めておく必要があり、それが「保険の原価」になるそうだ。

そのためには「保険数理」という専門的な数学の計算が必要みたいです。というわけで、保険料の計算を行う専門家を雇って、保険事故の発生確率とその他の経費などを計算してもらい、保険料を決めてもらいました。

4. 運用業務の発生

開業して、必死に宣伝をしてチラシを配り歩いたら、申し込みが続々と入ってきました。オフィスにたまってくる申込用紙。これをどう処理しますか? ここで保険は、申込用紙が送られて来てからが本当の勝負だということに気がつきます。

5. 必要に応じた人員拡大

とりいそぎ、申込書のうち、保険契約として受けることができるものと、一定の病気を持っている人など、やむを得ず断らなければならないものとに仕分けていくことにしました。査定を専門とする人間が必要です。

病気について詳しい知識と判断が必要なので、医師や看護師もいた方がいいかもしれません。引き受けの可否については主観的に判断するのではなく、一律の基準が必要となります。そこで、契約引き受けのためのルールブックを作らなければなりません。

6. 運用してわかる業務改善の繰り返し

それから、引き受けることになった契約については、契約者のデータを入力し、保険料の収納の手続きを取る必要があります。口座振替用紙を送ってもらったり、クレジットカードの決済手続きを準備したり…

はじめてみて分かったのは、口座にお金を入れ忘れていて保険料が引き落とせない人や、引き落とし口座を変えたいという人が結構いることです。その手続きについても処理のルールを定めて、それにしたがって契約者に入金を督促したり、社内のデータベースの変更をしていかなければなりません。

7. 支払い精査

数か月経ったとき、契約者から「スキーをしていて、転倒してけがをした。入院したので、医療保険の給付金を請求したい」という電話がありました。確認するために、正式な請求書と診断書のコピーを送ってもらう手続きを取ります。届いたら、診断書の内容を確認して、約款に定められた支払事由に該当するかを再度確認し、経理に振り込みの手続きを取ってもらいます。

8. システム化の検討

この引き受けから料金の収納、そして保険金支払までの一連の手続きも、契約が少ないうちは紙ベースで処理できましたが、件数が多くなるにつれて、パソコンを使ってやりたいと考えるようになります。

査定のフローを電子化したり、顧客データの管理・変更や、保険料の収納、保険金支払などの手続きもITでできるようにしたい。そこで、IT会社の人に頼んで、システムを作ってもらいます。

9. 利益拡大

一方、保険料として預かったお金は、運用して一定の利率で増やすことを前提に保険料を計算しているから、資産運用をしていかなければならない。これも資産運用のプロを雇って、社内でそれを管理する仕組みも作っていく必要がある。

今回は、ライフネット生命副社長岩瀬大輔さんの著書「生命保険のカラクリ」より、実際ライフネット生命を作る場合の簡単な流れを紹介しました。会社は業界により立ち上げ方は異なりますが、すごく参考になります。記事を読んでいるだけでワクワクしてきませんか?

どのように岩瀬さんが生命保険業界を変革したのかもわかります。ビジネスマンは生命保険というオールド分野の裏側も知ることができ、超オススメの本です!

参考本

「生命保険のカラクリ(岩瀬大輔)」

    
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