批評の現代史を知る

批評というジャンルがあります。文学作品はもとより、映画や音楽などさまざまな文化的な事象を対象として、著者の考え方を述べるものです。学術的な論文とも異なりますし、単なる身辺雑記とも異なります。いわば知的なエッセイといった位置づけの文章が批評といえるでしょう。批評はその書き手の人の個性や思考が色濃くにじみ出ます。当然、時代を経るごとに論調に変化が現れることもあります。

批評の歴史を知る

そんなあやふやな批評の歴史を知ることができる良書が、『現代日本の批評 1975-2001』(講談社)です。東浩紀のほか、市川真人、大澤聡、福嶋亮大によって『ゲンロン』誌上で行われた鼎談を一冊にまとめたものです。

変化を知る

本書では1975年から2016年にかけてのおよそ30年間にわたる現代日本の批評の歴史が記されています。その間に何があったのかといえば、東西冷戦構造の崩壊や、オウム真理教事件、阪神淡路大震災、911米国同時多発テロ、東日本大震災などです。大きな事件、事変が起こるたびに、批評はどう応えてきたのかについて、細かい検討がなされています。過去に遡行することで、同時に未来を知る手がかりをつかむひとつのきっかけにもなるでしょう。