時事ネタをエンタメでとらえる

ジャズミュージシャンの菊地成孔は、ミュージシャンとしてだけでなく文筆家としてもその才能を発揮しています。彼の新しいところは、何か本を書いてデビューしたわけではなく、2000年代初頭にインターネットから登場したということことでしょう。


情報の洪水

現在のネットは、短い文字数で簡明にメッセージを伝えることに重きが置かれていますが、菊地成孔が出てきた時代には長文のエントリが多くありました。その中でも彼は、とりわけ長い文章を書くことに執心していました。そこには、音楽だけでなく映画や書籍、あるいは雑学全般の知識が盛り込まれています。知識や情報に対するフェティシズム的な欲望がアウトプットされていたともいえますね。

時事ネタをとらえる

そんな菊地成孔の数多くある本の中で異色なのが『時事ネタ嫌い』(文庫ぎんが堂)です。本書は浮世離れをした生活を送る著者が、あえて時事ネタに向き合った本です。内容は政治・経済・芸能・文化・スポーツ・食といった幅広いテーマにわたって記されています。もちろん、著者にとっては専門外の分野も含まれるのですが、だからこそ許される「放言」「極論」などを楽しむ本であるといえるでしょう。そうした分野であったとしてもきちっと読ませる本に仕上げているのは著者の文筆家としての力量を感じさせます。

    
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